˖˚⋆
⊹
˖
久城先生の満足気な笑みに見送られ、氷上くんとふたりで職員室を出た。
蛍光灯の眩しく白い光で、廊下に2つの影が並んで伸びる。
「本当によかったの?」
「……ええと?」
「部活。あったんだろ」
「ああ、うん。大丈夫だよ。逆に、補習免除になって、ありがたいくらい」
「あんなテストで赤点取る方がどうかしてるけど」
「うっ……。どうせ、私は氷上くんみたいに頭の出来がよくないですよーだ!」
「ああそう」
そっけない返事は相変わらずで、思わず笑ってしまいそうになった。
「そうだ、さっきの話に戻るけれど、私、たしかに部活もあるけれど、生徒会の仕事もちゃんとするからね!?」
「……は」
「やると決めたからには、ちゃんとやりますから!」
むん、とガッツポーズを作る。そういう性分なのだ。
ひとり気合いを入れる私に、氷上くんは目を細めた。
「茅原さん」
「……へっ?」
「あれ、名前違った? さっき先生にそう呼ばれてた気がしたんだけど」
「違わない! けど……」
急に呼ぶから、びっくりしてしまっただけだ。
氷上くんが口にすると、聞き慣れたはずの自分の名前が、まっさらな何かに変わってしまったような気さえした。
たどり着いた昇降口、半分開いた扉から春風がざあっと吹き込んでくる。
「……茅原さん。まあ、これから、よろしく」
「っ、うん! よろしくね! 氷上くん!」
「声大きいよ」
予感、なんて大それたものじゃない。
だけど心がざわめいて、何かが動き出したような気がしたんだ。
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久城先生の満足気な笑みに見送られ、氷上くんとふたりで職員室を出た。
蛍光灯の眩しく白い光で、廊下に2つの影が並んで伸びる。
「本当によかったの?」
「……ええと?」
「部活。あったんだろ」
「ああ、うん。大丈夫だよ。逆に、補習免除になって、ありがたいくらい」
「あんなテストで赤点取る方がどうかしてるけど」
「うっ……。どうせ、私は氷上くんみたいに頭の出来がよくないですよーだ!」
「ああそう」
そっけない返事は相変わらずで、思わず笑ってしまいそうになった。
「そうだ、さっきの話に戻るけれど、私、たしかに部活もあるけれど、生徒会の仕事もちゃんとするからね!?」
「……は」
「やると決めたからには、ちゃんとやりますから!」
むん、とガッツポーズを作る。そういう性分なのだ。
ひとり気合いを入れる私に、氷上くんは目を細めた。
「茅原さん」
「……へっ?」
「あれ、名前違った? さっき先生にそう呼ばれてた気がしたんだけど」
「違わない! けど……」
急に呼ぶから、びっくりしてしまっただけだ。
氷上くんが口にすると、聞き慣れたはずの自分の名前が、まっさらな何かに変わってしまったような気さえした。
たどり着いた昇降口、半分開いた扉から春風がざあっと吹き込んでくる。
「……茅原さん。まあ、これから、よろしく」
「っ、うん! よろしくね! 氷上くん!」
「声大きいよ」
予感、なんて大それたものじゃない。
だけど心がざわめいて、何かが動き出したような気がしたんだ。



