君のせいで遠回りする


ぶんぶんと首を横に振っていると、氷上くんは眉をひそめて。


「いや……そういうのいいです」


「なんだ? 茅原じゃ役不足か?」



平然と失礼な発言をする先生にむむむ、と唇をとがらせていると、氷上くんはゆっくりと口を開く。



「部活とか、他の用事とかあるんじゃないですか。……時間取らせるのも、悪いんで」



予想外の言葉に目を見開いた。


他人の事情を鑑みて、自分の事情は後回しにして────そんなことを考えているなんて、思いもしなかった。



ぐらりと、心が大きく揺れる。




「いいや、それも問題ない。むしろ茅原なら好都合なんだ」


「先生!? さっきも言いましたけど、私には部活が────」


「中間の数学で、茅原は赤点を取ってな。それはもうひどい点で」


「まっ、まだその話するんですか……!」



「氷上が勉強を見てやってくれないか? その場合、茅原の補習は免除にしてやっていいと思っている」



「……え」



「どうだ、Win-Winだと思わないか?」