「要らない。そもそも、一人で十分って言ったの、俺だから」
「そう、なの?」
「そう。業務に支障は出ていないし、意向をすり合わせる必要がない分、むしろ効率的。何の問題もない」
そうかもしれない。
こうしてほんの少しの間、一緒に作業をしてみただけでもわかる、氷上くんは私よりずうっと頭が回るし、手際もいい。
ひとりぼっちでも、困ることなんて、ほんとうに、これっぽっちもないのかもしれない、けれど。
「寂しくないの?」
氷上くんの柳眉がぴくりと跳ね上がった、ような気がした。
改めて生徒会室をぐるりと見渡してみて、ひとりで過ごすには持て余す広さにぎょっとする。
黒板と同じくらいだだっ広い机に、5人でも余裕で座れそうなふかふかのソファ。
こんな部屋に毎日ひとりで閉じ込められるなんて、私だったら、耐えられない。心の拠り所がなくて、迷子になってしまいそう。
「くだらないこと言ってないで、手を動かしなよ」
「……はぁい」
肩をすくめた私に、はあ、とわざとらしくため息をついた氷上くんのすみれ色の瞳がわずかに揺らいだように見えたのは、やっぱり気のせいだったのかな。



