君のせいで遠回りする

両手を仰向けに差し出したら、氷上くんはようやく作業の手を止めて、怪訝な顔をした。


「こんなぽっと出の奴に半分も任せられないということなら、せめて、昨日、私が台無しにしちゃった分だけでも……」


「……何を言ってるのか、全くわからないんだけど」


「ええっ。だから、私に仕事を幾分か分けてくださいって話を────」



私の申し出はまるで想定外だったのか、氷上くんはゆっくりと2回まばたきを繰り返して、それから。



「いい。必要ない」


「まあまあそう言わずに」


「必要ないって言ってるだろ。あんたがいたって、足手まといになるだけだ、どうせ」



ダメ押しで付け加えられた“どうせ”に、うっ、と言葉を詰まらせる。


そんなことないってば!と強く言い返せないのは、昨日の罪悪感をまだ引きずっているからだ。



それにしたって、氷上くんって、どうして、こう、トゲトゲしいんだろう。

むう、と頬を膨らませた私の頭の中で、一瞬、ポンッと濃紺の傘が咲いて、またすぐに閉じる。