君のせいで遠回りする

「ごめんなさい!……昨日は、ご迷惑をおかけしました。ほんとうに、申し訳ないと思ってて……なのに、昨日の私は、まともに謝りもせずに帰っちゃって、挙句の果てに傘にも入れてもらったのに、お礼のひとつもできず……」


だめだ。

言葉にすればするほど、自分が情けなく思えてきて、無意識のうちに視線が落ちていく。


氷上くんが、ふーっと長い息を吐いたのが聞こえてきて、思わず口をつぐむ。


すると。



「……別に、あんた、言ってたけど。ごめんなさいも、ありがとうも。もう聞いた、昨日」


「え?」


「ていうか、言わなかった? “気にしないでくれる”って」


「……。っや、言われてないよ!?」


「じゃあ、今言った。だから、昨日の話はもうこれで終わり」


「ま、待って、すとっぷ! 終わらせないで!」



はいさようなら、と今にも追い出されてしまいそうな気配を察知して、慌てて止めた。


口先だけで解決したつもりになるために、わざわざここまで足を運んだわけじゃないもの。



「半分、ください」

「はあ?」