君のせいで遠回りする

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コン、コン、コン。

3回ノックして、返事は待たないで、扉を開けた。


硬く冷ややかな声を聞いたら、ひるんでしまいそうだったから。


ガラガラッと勢いよく開いた扉のすき間から、暗くなった廊下にまっすぐ光の線が伸びてきて、その上を綱渡りするみたいに、そうっと、生徒会室の中にすべり込んだ。



うう、肌がびりびりする。

昨日もそうだった。

この部屋には、決して心地よいとは言えない緊張感が充満している。



「……」



いくら、そうっと入ったとはいっても、扉を開ける音で気づかれないはずがなく、ぱちりとまるで約束していたかのように目が合った。


氷上くんは、今日もシャーペンの芯のごとくぴんと背中を伸ばして、椅子に深く腰掛けて、完全に“無”の表情でこちらを見ている。

……ぱらぱらと手元の書類を捲る手は、一切緩めずに。




────“氷の生徒会長”かぁ……。



昼間のつーちゃんとの会話を反芻しつつ、氷上くんが何か言う前に、がばっと頭を下げた。