「そういや、昨日遅かったけど何かあった? 待っててもなかなか来ねえから先帰ったけど」
「ごめん。昨日は色々あって……」
そういえば、氷上くんは今、どうしてるだろう。
昨日は部活が終わった後にもまだ、生徒会室で仕事をしていたよね。
今日も同じように……というか、私が台無しにした分、もっと遅くまで、もしかしたら────
「っ、ごめん!」
「は?」
急に顔の前でぱちんと手を合わせた私に、椿がきょとんと目を見開く。
あたりまえだ、何の脈絡もないもの。
「私、用事思い出したから戻るね! 先帰ってて!」
「……はぁ?」
面食らった様子の椿をその場に置いて、足早に向かったのは、北棟。ひんやり冷たい、氷の城。
昼間、つーちゃんは「気にしなくていい」って言っていたけれど、やっぱり、どうしても。
いても立ってもいられなかったのだ。



