君のせいで遠回りする


「別に、まひるが気にする必要ないんじゃない?」

「え」


「だって、生徒会長が言ったんでしょ? 『早く帰れ』 って。だったら、それが全てだって。まひるが何かしようったって、火に油を注ぐだけになる気がするけど」


「う……、そう、かもしれない、けど」




たしかに、氷上くんはもう、私の顔も見たくないかもしれない。

それだけ迷惑をかけた自信はある。



だけど、それだけ迷惑をかけた自覚があるからこそ、このままフェードアウトするのもなぁ……と昨日家に帰ってからずっともやもやしているの。




「なに、珍しく引きずってるんだね? いつもだったら、寝たら忘れる勢いなのに────まさか、生徒会長に惚れてる、とか」


「なっ! ないない! まったくの初対面だったんだし」




それに、好きになるはずがないもん、あんな人のこと。

そう、心の中でそっと付け足す。



初対面の印象、最悪だったんだからね。

ぶっきらぼうで、冷たくて……。