「一番星の君へ」
まだ分からないの?
君が、私にとってなんなのか
君は誰よりも優しくて素敵な人なんだよ
私の想いにもまだ気づいてないの?
気づかないなら何度だって言うよ
ずっと、ずっと愛してるーーーーーーーー
【もくじ】
プロローグ
序章 流れ星
1章 アルタイル
2章 デネブ
3章 ベガ
4章 夏の大三角形
5章 アンタレス
6章 ペルセウス座流星群
7章 ベテルギウス
終章 ブラックホール
番外編 一番星
【序章】流れ星
「お、ひ、、のこ、い、て、」
暗闇の中で一番星のように輝く君が何かを私に向かって囁いてる。でもなんて言っているのか聞き取れない。なんだろうと手を伸ばす
「お、れも、ひ、の、こ、あい、て、る」
「ひなあ?!遅刻するよ?!」
そんな声で目が覚めた。ドスドスと階段を昇ってくる音が聞こえてくる。
「あー、今起きたすぐ行く」
目を開けるとそこは見慣れた自分の部屋の天井だった。
「なんだ、夢か」
そんなことを呟きながら壁にかかっている時計を見ると、登校時間の5分前だった。
「うぁ、やば」
急いで階段をおりて朝食を食べに行く。
でもご飯を食べている時もさっきの夢が気になりすぎて親の言っていることが入ってこなかった。何だったんだろ、あの夢。どことなくあいつに似ていた気がする。あいつと会えたら幸せなのにな、、。
そう、『あいつ』とは私の幼なじみで
私の好きな人。でも、あいつは昔どこが遠くの街に引っ越して行った。
それからもう3年以上会っていない。
あいつが居なくて苦しい日々もあったけど今日、こうやって高校生になることが出来た。だから、私はあいつが居なくても頑張ることにしたんだ。そう決意し、私は家を出るため玄関に行った。
風邪で1週間遅れて頑張って入学した高校に登校するのはなんだか気が引けたけど渋々家を出ようとした。
「陽菜、1週間も遅れて登校だけど大丈夫?無理しないようにね」
とお姉ちゃんが声をかけてくれた。私はお姉ちゃんが大好きだ。しっかり者で可愛くて優しいお姉ちゃん。
「大丈夫っ!頑張ってくるね!」
「そう、わかった!無理はしないよーに!あ、あと外で待っててくれてるんだからはやくいきなさい」
そう言ってお姉ちゃんは可愛くウインクをした。
え?待ってる?だれのことだろ、、まあいーや
「はーい、いってきまーす!」
そう言って家を出た時、私は動けなくなってしまった。だって、だってそこにはあいつがいたから。
「え、ゆき、と?」
そう、そこには幼なじみの東雲雪斗と彰斗がいたのだ。2人は私が3歳の時に隣に引っ越してきて親が家にいることが少ない私はよく2人の家にお邪魔していた。その後中学一年生の時に2人が引っ越して疎遠になってしまったのだ。そしてあいつ、そう東雲雪斗は私が3歳の時から想いを寄せている男の子だ。向こうはどう思ってるのか知らないけど。
「よお、陽菜おせーぞ」
「ひなちゃーん!待ちくたびれちゃったよぉ、」
そう言って2人は今までの空白の時間が無かったかのように話しかけてきた。
「え、?」
目の前の雪斗はキラキラ輝いてるように見えた壊れた心を癒してくれるような優しい光。雪斗は小学生時代とても人気があった。運動が得意でコミュニケーション能力がとても高く誰とでも仲が良かった。
一方彰斗は大人しくよく本を読んでいるような子。勉強も得意でよく一緒に雪斗に勉強を教えていた。
昔は私の方が2人よりも身長が高かったのに、今では私の頭一個分ほどの身長差があった。
「な、んで?2人ともここに、?」
私が首を傾げると
「そりゃ、陽菜と同じ高校だからだよ。何言ってんだ?」
「そうだよ?寝ぼけてる?ひなちゃん」
2人はニコニコの笑顔で説明してきた。
え?2人とも戻ってきたってこと、?
「まあ、1週間風邪で寝込んでたもんな〜感覚バグるのもしゃーない」
そういって雪斗はくるりと方向転換して
「早く行くぞ」
とそれだけ言った。
「え、ちょ、まってよ!2人とも戻ってきたんだね、おかえり!」
そう言うと、2人は首を傾げてきた。
「おかえり?何言ってんだよw俺らずっと一緒にいただろ?まじで寝ぼけてんのかよw」
「ひなちゃんやっぱまだ体調悪い?休む?」
え?何言ってるの?私は中学時代2人が、雪斗が居なくて辛くて悲しい思いしたのに、、、2人こそ何言ってるんだろう、、?
彰斗が心配そうに覗き込んできたので私は
「だ、いじょぶ。早く行こっか」
としか言えなかった。
私の受験した学校は私たちの住む鶴ケ丘市で一番頭のいい日向高校だ。
日向高校へは、徒歩15分でつく。登校している途中に私の大好きな海が見えたり、山が見えたりする。信号も1つ渡るだけなので事故に巻き込まれる確率も少ない。
ちら、と横を見ると雪斗達がじゃれあっていた。いつまで経っても子供だなあ、、w
でも、本当に2人との中学校生活を思い出せない。まるであの時間が空白になってしまったようだ。
信号を渡ろうとした時、急に2人が歩く足を止めた。
なんだろう?と思い、2人の顔を見ると、
「っ、」
とても、とても苦しくて辛くて悲しい顔をしていた。言葉では表せられないくらいの悲しい顔。
「ふたり、とも?」
私が話しかけると2人ははっとしたように
「あ、ごめん」
と、それだけ言って急に私を真ん中にして手を繋いできた。
「なななな、なに?!」
急に手を繋がれたことにびっくりして声が裏返ってしまった。
「ん?w声裏返りすぎなww別にいーだろこんくらい。」
「そうそうっ!昔はこうやって手繋いでたじゃあん」
そんな話をしてるうちに信号をわたりきった。その後は私が真ん中のままだったが、手は離してくれた。
なん、だったんだろ、、あの顔も。
その時、私は何か嫌なことが起こる。と思ってしまった。
【1章】アルタイル
「おっはよーございまーす!」
教室に着くと雪斗は大きな声で挨拶をした。
私たちは見事に同じクラスで1年B組になった。
雪斗を見た途端近くに人が沢山寄ってきた。
「おーいw雪斗お前朝っぱらから声でかすぎ」
「雪斗くん元気だねw」
「東雲〜その元気分けてくれよぉ、」
など、雪斗はこの一週間でたくさんの友達を作ったらしい。さすがだな〜と思いながら席につこうとすると
「んぁ?誰だ?」
と、雪斗に一番最初に話しかけた坂本くんが言ってきた。
「あ、えと」
反応に困っていると
「うっわ!坂本〜そりゃないよ!陽菜は同じクラスだろ?風邪で1週間休んでたんだよ」
と雪斗が説明してくれた。そのおかげで近くにいた女子達が集まってきて
「陽菜ちゃんよろしく〜!」
「よろしくねっ!てゆーか髪の毛サラサラっ!」
「陽菜ちゃんかわい?!よろしくー!」
と、沢山話しかけてくれた。
私は髪の毛を褒められたのがいちばん嬉しかった。私の髪の毛はセミロング程の長さで、小さい頃から丁寧にお手入れをしてるのだ。
「ひなちゃんはずっと髪の毛のお手入れ頑張ってたもんね〜」
と、近くにいた彰斗も褒めてくれた。
そうやって少しクラスの子と話していたら
がらっと扉が開いて先生が入ってきた。
「ほ〜らお前ら〜出席とるけん席つけ〜」
私たちの担任は体育担当の小島先生という人だった。博多弁を使っている特徴的な先生だ。
私たちが急いで席に着くと先生は出欠をとり始めた。
私の席は窓側の前から4番目で前には
雪斗と彰斗がいた。
私の隣には席がなくて雪斗達が振り返ってこない限り誰とも離せないことに気づいた。
「東雲〜」
先生がそう呼ぶと
「おいおい〜東雲は2人いるんだぞせんせ〜名前で呼んでくださいよ〜w」
そうやって雪斗がふざけて先生に話しかけていた。最初はこんな口調で怒られるかと思ったけど先生は
「すまんすまんw東雲彰斗〜」
と呼び直していた。雪斗も先生もフレンドリーな人だなあと私は思った。
【2章】デネブ
【3章】ベガ
「転校生の川口春乃です!よろしくお願いします!」
「すんません遅れましたああああ」
今日は雪斗が来るのが遅すぎて彰斗と2人で登校した。すると私の席の隣に新しい机が置いてあり、転校生が来るんじゃないかと大騒ぎになっていた。案の定、転校生がやってきて自己紹介を始めようとしたのに、その声に被せて雪斗が教室に入ってきた。
「雪斗おせーよw」
「東雲まじでタイミング悪すぎww」
そうやって周りの子が雪斗の事を茶化している。
「いや、まって!言い訳ある!夜までゲームしちゃったんだよ!」
笑いながら言い訳をしている雪斗はとても笑顔で楽しそうにしていた。
前にいる転校生に目を向けると口に手を当ててくすくすと笑っていた。
腰ぐらいまである綺麗な髪を巻いていて、
メイクもバッチリな完璧美少女という子だった。しかもスタイルまでよくこれは男子にモテるなと思った。
「はいはい、そこまで。転校生が自己紹介するんだから早く座れ」
と、先生が言うと
「え?!転校生?!よろしくなー!」
と言いながら雪斗は自分の席に着いた。
ほんっと、自由なんだから、、
「え、と川口春乃です!東京から親の仕事の都合で引っ越してきました。よろしくお願いします!」
転校生は簡単に自己紹介をし、私の隣まで歩いてきた。隣に座る時、バニラのような香水の匂いが漂ってとてもいい匂いだった。
「よろしくね!わかんない事だらけだからわかんないことあったら聞くかも!」
と、彼女は私に話しかけてきた。
「うん、よろしく!私は陽菜だよ、いくらでも聞いてね」
「ひなちゃん!いい名前〜!私のことはなんて呼んでもいいよ〜」
そうやって彼女はにこっと笑って見せた。
「じゃあ、春乃で!よろしくねっ」
「よろしくよろしくー!」
高校生活でやっと友達ができたと思い私は心の中でガッツポーズをした。
前に座っている2人がくるりと後ろを向き
「俺雪斗!よろしくな〜!さっきはすまん」
「よろしくね雪斗くん!全然いいよ〜」
「僕彰斗、よろしく」
彰斗も自己紹介をすると
「わあ!双子なんだ〜!彰斗くんもよろしく〜!」
「うん、よろしく」
【4章】夏の大三角形
【5章】アンタレス
「よっっしゃあぁぁぁ!夏休みだぜぇぇぇぇ!」
終業式が終わったあとまだクラスに人が残っているのに雪斗は大声で喜びをあらわにした。
くるっと私の方を向き
「なあ陽菜〜彰斗も春乃もなんだけどさ今夜流星群見に行かね?」
と私たちに言ってきた。
「この時期だとアンタレスも見れるし!」
と、付け加えて。アンタレスはさそり座の一等星。雪斗が1番大好きな星だ。でも理由をずっと教えてくれない。
え?流星群?流星群って見えるの夜だよね、、、?
「えぇ〜やだよぉ、暗いし怖いって、おにーちゃんがおかしいの!」
「私も少し怖いかなあ、」
と、2人はあまり乗り気ではなかった。
そりゃそうだ。高校生でも夜中に歩き回るのは危ない。それに最近この近くで強盗事件があったばっかりだ。
「はあ?2人ともビビりだなあ、陽菜は行くよな?な?」
と圧をかけながら言ってきたので後にひけず
「い、いける」
と言ってしまいほとんど無理やりついて行くことになった。
「えーじゃあ春乃ちゃんは僕と一緒に明るいところ行く?」
「いこいこっ!」
と2人は2人で出かけるらしい。
最近2人は仲良くなった気がする。最初はお互い「東雲くん」「川田さん」と呼んでたのにな。と思い、ふっと笑みをこぼしてしまった。
「んじゃ、陽菜!俺ん家に9時集合な!」
と私にメモを渡してきて雪斗は部活に行ってしまった。
メモには乱暴な字で
・あったかいの・懐中電灯・夜食・俺のジュース
と書かれていた。俺のジュース、、?買って来いってことかなw
春乃も部活があったので久しぶりに彰斗と一緒に帰ることになった。
途中でコンビニに行き頼まれたものを買ってから一緒に家に帰った。家は前と同じく隣なのでほとんど最後まで彰斗と一緒だった。
「ねえ陽菜ちゃん」
「な、なに?」
急に名前を呼ばれてビックリして声が裏返ってしまった。
「あはは!声裏返りすぎ!」
「びっくりしたんだもん〜、、」
彰斗の笑顔は雪斗よりも暖かくポカポカしている笑顔だ。
「陽菜ちゃんっておにーちゃんのことすきでしょ!」
と少し身をかがめて顔を覗きながら言ってきた。
「へっ?!雪斗?!ないない!好きじゃないよ!」
「えー?ほんと?また声裏返ってるよ〜?」
意地悪な笑みを浮かべて私をのぞきこんでくる。
彰斗は誰にも負けない可愛さを持っているがこうやって覗き込まれるとちゃんと背が高くて男の子なんだな〜と実感してしまう。
「そ、そっちこそっ!春乃のこと好きでしょ!」
と聞くと
「は、へあ、あの、そ、の」
といいあからさまに動揺している態度をとった。わかりやすいなあw
そんな会話をしながら海の前の道路を渡ろうとした時、急に彰斗がピタッと止まりあの時と同じの悲しい、苦しい表情をしていた。
「彰斗、?」
私が声をかけるとビクッとして
「あ、ごめんね」
とそれだけ言ってきた。そのまま彰斗は何も言わずに私の前を立って手を繋いで道路を渡ってくれた。私が昔車に轢かれそうになったのをトラウマに感じてると思ったのだろう。あの登校初日の時も、花火の時も。
道路を渡るとすぐに家に着いたので彰斗と別れて自分の部屋に戻った。
8時半になり家を出る準備をしていた時
ピコンと、通知音がなった。
春乃からの連絡だった。
『ねね、!陽菜ちゃんは今日お洒落してく?』
という連絡だった。きっと春乃はオシャレをするのだろう。でも、私はあまり興味がなくシンプルなワンピースを着ていくつもりだ。こんなのお洒落じゃないよねー、と思っていたら
『陽菜ちゃん夏祭りに来てたワンピース着たら?星と一緒に白のワンピースが揺れてる写真絶対バズる!』
と連絡が来た。
『ちょうどそれ着るつもりだったw』
もしかして私も案外女子力?って言うものがあるのだろうか。
『さぁすがっ!私はジーンズの短パンに、白のオーバーサイズのシャツ着るつもり!』
『いいねっ!めちゃ似合いそう写真送ってよ〜』
『じゃあひなちゃんもおくってねっ!』
そんな会話をしていたらいつの間にか時間が経っていてもう50分になっていた。
急いで昔雪斗から貰ったうっすらピンク色のリップをつけて斜めがけのショルダーバックをしょい雪斗の家に向かった。
インターホンを押すと
『入っていいよ〜鍵かけてないから』
と言われ中に入った。雪斗たちの家は広いのにどこか寂しい。雪斗たちの親は夜遅くまでの仕事が多いからよく兄弟だけで過ごすことが多いと言っていたのを思い出す。
私もよく親と喧嘩した時に雪斗の家におじゃましていた。
雪斗の部屋は2回なので階段を登って
「おじゃましまーす」
とそっと扉を開けた。
「お!陽菜!んだよ〜前みたいに窓から来ればよかったのに」
とニヤニヤ笑いながら言ってくる。
そう、それは私の黒歴史だ。昔は活発で野生人のような幼少期を思い出すだけで恥ずかしくなる。私の部屋とゆきとの部屋は隣同士で窓からジャンプすれば届くのだ。
1度夜に雪斗を脅かそうとして窓に飛び移ったら出来るということが分かったので
何度も何度も繰り返していた。
「もー、、それ!昔のことでしょ!黒歴史だからやめてっ」
「はいはいwてか!ジュース買ってきた?」
少し口を開け八重歯が覗いている。あぐらをかいて手を出してくる雪斗は少しかっこいい。って!いやいや別にかっこよくないし?!こんなガキみたいなのをを好きになるわけないし?!
「ん」
それだけ言ってスプライトを渡した。雪斗は昔から炭酸ジュースが大好きでその中でもスプライトが一番好きなのだ。
「うぇ?!まじ!ありがとう陽菜!てかなんでそんな顔赤いん?」
えっ、顔赤い?!最悪うぅぅ、、何勝手に考えて照れてるんだろ....
「なんでもないし?!てゆーか時間は?もう9時半になるけど」
と聞くと
「はあ?お前バカなのかよ流星群見れるのは3時頃でぇすw」
はあ?3時?!なんでこんな時間から集まったの?!雪斗相変わらず何考えてるか分からないやw
「ええ?!なんでそんな遅いの?!」
「なんでって言われても、星って夜にしか見えねぇし」
「そんな遅くまでいたら危ないでしょ?!しかも山登るんだよね?真っ暗なのに登ったら危ないって!」
「だから懐中電灯頼んだんだぞ?」
雪斗の危機感の無さにしびれを切らしてしまった私は
「もう雪斗なんか知らない!」
と言って雪斗たちの家を飛び出してしまった。
後ろから雪斗が叫んでいるのが聞こえたけど気にせずに私は自分の家に戻った。
部屋に着くとどっと疲れが出てお風呂も入らずに寝てしまった。
キキーーーーー!!
そんなブレーキ音が頭の中で響き渡る。
その直後背中に強い衝撃が当たった。
そのまま私は飛ばされて道路の反対側の草むらにたおれた。
(なんだろ、夢?夢なのに、、体が痛いっ、、、)
意識が遠のいていく中誰かが私の名前を叫びながら近寄ってくる気がした。
「夢、か」
起きると身体中びっしょりで背中に服が張り付いて気持ち悪かった。昔、私がトラックに跳ねられそうになった怖い記憶がよみがえってきて苦しくて仕方なかった。
時計を見るともうお昼過ぎで長い時間眠ってしまってた。
しばらくして気持ちが落ち着いたので
シャワーを浴びて自室に戻った。
そういえば、雪斗大丈夫かな、、、
昨日置いてきちゃったし、、あのあと一人で行ったりしてないよね、?
気になって仕方がなかったので彰斗に電話をかけることにした
『もしもし?どうしたの?めずらしーね』
電話をかけるとすぐに繋がった。
「ごめんね、急に。雪斗、へーき?昨日少し喧嘩しちゃって、、、置いてきちゃったんだよね、、、」
『おにーちゃん?あー腕とかに擦り傷できちゃってるやあ、、昨日山に星見に行って転んじゃったんだって』
え、怪我?どうしよ、、私のせいだ。私のせいで雪斗に怪我をさせてしまった、、、
『喧嘩しちゃったの?めずらしいね〜でもお兄ちゃんもなんかずっとどんよりしてるから仲直りしたいと思うよ!』
「そうだよね、ちゃんと話してみる!ありがと彰斗!!」
『いえいえ!いつでも頼ってね〜』
電話を切ったあと雪斗にメッセージを送った。
『家の外来て』
それだけ。すぐに既読が着いて
『分かった』
と返信があった。
私が外に出るともう雪斗は外にいたので
「ごめんおまたせ、いこっか」
と言って目的地もなく私は歩き始めた。
【6章】ペルセウス座流星群
雪斗を連れてきたのはいいものの一体どこに行けばいいのだろう。星を見に行く?いや、星のことがあって喧嘩してしまったんだから余計にだめか、じゃあ海?でもな、海って危ないよねー、、それに海って星も映るからなあ、、どーしよ
「陽菜」
急に無言だった雪斗に名前を呼ばれた
「なあ、陽菜ごめん陽菜のこと傷つけないようにしてたのに、、ごめん」
そう言って雪斗はまた黙ってしまった。
私はなんて言ったらいいんだろう、今回悪いのは完全に私だ。余計なお節介で雪斗を怒らせてしまった私に非がある絶対に。
「な、んであやまるの?」
「だって、陽菜は俺の事心配してくれてたのに、、無視して怪我して馬鹿だろ俺」
そう言って腕の絆創膏をつついた
「で、も私のお節介のせいだから」
「いや、おれが」
「わたしだよ、」
と言ったところで2人で吹き出してしまった
「もおーww雪斗がんこだなあw」
「はあ?wそっちもだろw」
「ふふwごめんね雪斗」
「こっちこそ、ごめんな」
私の目をまっすぐ捉えている雪斗の目にはたくさんの星が反射していてキラキラと輝いていた。
「どこ行く?なんも考えてなかった、、」
すると雪斗は目を輝かせて
「じゃあ俺ん家来てよ、ベランダから星見えるようにしたからさ!それならいいだろ、?」
たのむ!とでも言うように顔の前で手を合わせて言ってきた。
「しょーがないなぁ、それならいいよ」
私が渋々答えると、よっしゃー!と言って雪斗は大ジャンプをした。ほんと、いつまで経っても子供なんだから、、w
私たちは来た道を戻り家に向かった。
1度私は家に帰って準備をして9時に家に行くことになった。
雪斗達の家に入ると彰斗が居て、すれ違いざまに
「よかったね」
と、こそっと言ってくれた。
彰斗も今から出かけるらしくバックを持って出かけて行った。
春乃かな、、?そんなことを思いながら雪斗の部屋に向かった。
雪斗の部屋のベランダはそこまで広くないが快適なスペースになっていた。
ふたつの椅子、望遠鏡、飲食物、ミニテーブル、と言ったシンプルなものだったがとてもここで過ごすのが楽しそうでワクワクしてしまった。
「ん、これ」
そう言って雪斗は私に毛布を渡してくれた。真夏だと言うのに夜は潮風が吹いて少し肌寒かった。だから毛布をくれたのはありがたかった。
その間に雪斗は望遠鏡をカチャカチャと設定していて私はその姿をボーッと見ていた。
「よし、できたよ」
と、雪斗はくるりと振り返って私を見た。
覗いて見て、とでも言うように雪斗は私を手招きしてきた。望遠鏡を覗いてみるとそこには、どんな星にも負けない強く、赤い星があった。
「わぁ、」
「すげーだろ!これがさそり座の一等星『アンタレス』この星って遠すぎるからここからだとあんまり明るくないけど、本当はすっげーでかくて明るい星なんだ」
雪斗は目をきらきらさせながら説明をしてくれた。アンタレスは本当に綺麗だった。
今まで見てきた星の中でいちばん強く輝いてるように見えた。そこで、私はずっと疑問に思っていたことを聞いてみた。
「ねえ、雪斗はなんでアンタレスが好きなの?」
そう、雪斗はずっとこの理由を教えてくれなかったんだ。ずっと、ずっと気になってたことの一つだ。
「んー、覚えてないのかよ、」
「え?」
雪斗は宇宙の遠くを見つめながら話し出した。
「陽菜がちっせぇころ親と喧嘩して家出たことあっただろ?そんときにさ、俺も探しに行ったんだよ。」
あ、もしかして、、、
「お?その顔はなんか思い出したか?」
にやっと笑いながらこっちを見てくる。
「う、ん何となく、、、」
「それでさ、あの山にある秘密基地にいるだろ〜って思って行ったら案の定いてさw俺がかえるぞ〜って言ってもお前動かなくて」
「『あの星綺麗だから帰らない』でしょ?」
「そうそうそれ!wその星がアンタレスだったんだよ。おれが引っ越す時にもさそり座のキーホルダーくれたしな」
そう言って雪斗が引っ越す時にあげたさそり座のキーホルダーを見せてくれた。
新品の時とは少し色もあせていていたが
とても綺麗だった。
「俺の宝物」
そう言った雪斗の顔はどことなく赤くなっている気がした。
すると、急に眠気が襲ってきて私はその場で寝てしまった。
「ね、がい」
なんだろ、また夢?
「おねが、きて」
だれ?
「お願い起きて!」
春乃、?
起きてってどーゆーこと、、?
「ゆめなのっ、ぜんぶ!ひなちゃんはっ、雪斗くん達の誕生日の日、死、、、」
あ、れ?何も聞こえなくなった、、、
なんて言ったんだろ、、、
『死んだ』最後、そう聞こえた気がする。
ん?どゆことだ、、?
「はや、きな、んじゃ、う!おね、い」
泣きながら春乃が必死に訴えていた。
春乃、?どうしたの、、?
春乃が遠ざかって顔が見えなくなった時私は目が覚めた。
目を開けると雪斗が覗き込んできた。
「おまえなぁ、寝るなよww」
「ご、めん」
空を見ると流星群が沢山飛んでいた。
「綺麗だな」
そう言う雪斗の横顔は少し悲しそうだった。
私、が死んでる?
死んでるわけが無い、私は、、生きてるよ?今こうやって雪斗と話してる。
痛い、美味しい、嬉しい、大好き
そう言った感情だって、あるのに、、
なんかの、悪い夢だよね、、
雪斗を見るのいつもの元気な顔とは裏腹に少し、いや、もっと悲しい顔をしていた。
「ねぇ、雪斗。海、行こ」
雪斗は何も言わずに頷いてくれた。
外に出たあとは雪斗がずっと手を繋いでくれていた。それが、私を余計に不安にさせてしまった。
私は、死んでいたのか。これは、私のために用意された幸せな夢なんだ。
私の単なる考察だけど、、私はもう死んでいて、これは夢。夢の中で過去に戻っているんじゃないかな。でも、なんで死んだんだっけ、、、あぁ、トラックだ。あの日、あの場所でわたしは、トラックに跳ねられて死んだんだ。
【7章】ベテルギウス
「雪斗、今から変なこと、聞く、」
ずっと気になってた。眠る度に雪斗関係の夢を見る。その内容が全て『死ぬ』に繋がるから。
初めて登校した日道路を渡る私を真ん中に2人は手を繋いでくれた。その時雪斗はとても、とても悲しくて辛くて苦しい顔をしていた。海で遊んだ時も、今こうやって手を繋いでくれたことも。雪斗は私をずっと気にかけてくれた。だから、そう言う事だと思う。それに、2人は花火を見に行こうって言った時
『多分中止だからやめよ』
って言った。
しかもそれ、合ってた、、だから、だから、、
「あのさ、ゆき、、、」
「陽菜」
私の声にかぶせて私を呼んできた。
「っ、、、」
雪斗は泣いていた。あの時よりも苦しい顔だ。
「雪斗、」
「、、、うん、どうした?」
「あの、さ私、、もう死んでるんだよね、!これは、、夢の中で過去に戻ってるんだよねっ、、!」
あえて元気に笑顔で言う。そうしないと雪斗がもっと、もっと苦しい顔をしてしまうから。私なんでどうでもいい。雪斗にこれ以上苦しい思いをさせたくない。
「な、んで?なんで?ちがう、陽菜は、、」
「いいのっ、!ねえ雪斗?」
「なに、?」
「私がちっちゃい時にさ保育園でぬいぐるみ取られちゃって泣いてた時助けてくれたよね。小学生の時もいじめっ子やっつけてくれたよね」
「うん、うん」
雪斗はしっかりと私の話を聞いてくれた。
「中学校の時2人が転校しちゃうの悲しかったー、ああ、また1人だって思っちゃったんだよね、でも毎日雪斗を思い出して頑張れてた」
「やっぱ、俺たちが中学時代いないのも気づいてたんだな、、、」
私はこくこくと頷いた。
しっかり言えたかな、私ももう涙が止まらなくなっていた。声、裏返ってなかったかな、、、。
「だ、からっ、わたしはっ、もう大丈夫、いつも、私の事支えてくれて、ありがとっ、!」
「陽菜っ、、、」
そう言って雪斗は私に抱きついてきた。
苦しいくらいに。私をどこにも行かせないようにと。
「陽菜、、行くな、だめだ、、」
何度も何度も噛み締めるように私の名前を呼んでくれた。
「雪斗、」
私も何度も名前を呼ぶ。
「行かないで、くれよ、、、」
誰もいなく静かな海で一番星を見上げながら私たちは笑い泣きそしてお別れをする。
「雪斗、私っ、雪斗の事だいすきっ、ずっとずっとっ、」
最後は精一杯大好きと伝えた。これで、もう悔いは無い。雪斗、今までありがとう、私の事なんか忘れて幸せになってね。私は雪斗が幸せになる事願ってるから。じゃあね雪斗。
ありがとう
ごめんなさい
あいしてる
意識が遠のいて行く時私は聞こえた。しっかりと
「おれも陽菜のこと愛してる」
【終章】ブラックホール
ああ、私は死んでいたんだ。雪斗を、家族を置いて死んでしまったんだ。春乃もごめんねいつも迷惑かけて。お母さんもお父さんもお姉ちゃんも、今までごめんなさい。
そしてありがとう。みんなの事ずっと空の上から見守ってるからね。どうかみんなが幸せになりますようにーーーーーーーーーーー。
「陽菜」
「ひなっ、」
「陽菜ちゃんっ」
「陽菜!」
ん?なんだろ名前、?呼ばれてる
天国で倒れたりしたのかな、w
また貧血かなwあの時は雪斗に助けてもらっちゃったなあ
まぶたの裏にかすかに光を感じる。
重い瞼を開けるとそこには見慣れない天井が映った。
う、、、なにこれ体が動かない、痛いっ、
なに、これ
そんなことを思ってると急に
「わあああああ!」
と歓声が上がった
なんだろ、
「陽菜!」
「陽菜!!」
次々に私を呼ぶ声が聞こえてくる
しっかりと目を開けるとそこには
「おかーさん、おとーさん、?おねーちゃん?はる、の?」
そこには、みんなが居た。雪斗たちを除いて。どーして、?みんなも死んじゃったの?
「陽菜、大丈夫か?どこか痛くないか?」
「陽菜っ、生きててよかった、、、」
え、なんで?雪斗は?なんで、私生きてるの?なんで、なんでなんで?!雪斗は?どこ?
お医者さんが
「今日は疲れてしまうと思うのでまた明日しっかりと話をしましょう」
と言ったのでみんなが出ていこうとした。
「まって、!はる、の!」
カスカスの声で何とか春乃を引き止めて少し話をさせてもらう事にした。
「え、ねえ春乃、雪、、、」
「あのね、」
ずっと口を開いていなかった春乃が口を開いた
「彰斗くんが、雪斗くんがね私達を庇うために、、、死んだのっ、、」
涙を堪えきれず泣き出す春乃がそこに居た。
え、?なんで?雪斗は、死なないよ?死ぬのは、私、なんだよ?だって、あの夢は過去に戻ってたんでしょ、?
春乃を見ると前みたいに白くきれいな肌から魂が抜けたようになっており、目の下にはクマがあった。所々傷の手当をしていて前の美人で女子力の高い春乃とは別人のように見えた。
「え、ちがうでしょ、?だって、雪斗は、、」
春乃はぶんぶんと首を振った
「私達、2人の誕生日の夜にさ海に行って星見よって言ったの覚えてる、?」
「うん、覚えてる」
「その時ね海の手前の交差点でトラックが突進してきて、、、それでっ、、、」
春乃は涙を流しながら続けてくれた
「彰斗くんは私を、雪斗くんはひなちゃんを庇って、、私達も大怪我したんだけど2人は、すぐに息を引き取って、、、私も3ヶ月間目を覚まさなかったんだって、でも、、陽菜ちゃんの方が重症で4ヶ月も眠ってたんだよ、、、。」
『4ヶ月』その言葉にはっとした。私が雪斗と夢の中であった日4月8日から雪斗たちの誕生日、死亡日は8月8日だ。ちょうど、4ヶ月、、私は眠っている間毎日のように何気ない日常をすごしていたのだ。そして私が死ぬと思っていたのは間違いで、あの時私と手を繋いでくれたのも道路を渡る時に険しい顔をするのも、全部全部、雪斗達が死ぬと言う苦しみを思い出していたからなのだ。と私は気づいた。
あぁ、そうか、そうだったんだ、、
私は涙が止まらなくなった。
「あぁっ、うぁああ、はる、のぉ、、」
春乃は何も言わず一緒に泣きながら私を抱きしめてくれた。
「あのね陽菜ちゃん」
急に真面目な顔になった春乃が私に顔を向けてきた。
「私、眠ってる間に彰斗くんと過ごす夢、、私が転校してきた日からあの、日までの、、夢を見てたの、、」
「え?春乃も?春乃も夢を見ていたの?」
春乃は少し驚いた顔をしてこくりと頷き頷いた。
「やっぱひなちゃんもだったんだね、!」
あぁ、そうか、そっかあ、2人は私たちを置いて旅立ってしまったのを悔やみきれずに夢で、一緒に過ごしてくれたんだ。ずっと、ずっと優しいなあの二人は。
「春乃。2人はきっと、私たちのために、私たちが目を覚ますように夢の中で導いてくれたんだよ、きっと」
春乃は泣きながらこくこくと頷いてくれた。
『な、んで?なんで?ちがう、陽菜は、、』
あの時、ほんとは
『死んだのは俺たちなんだ』
って言うつもりだったんでしょ。ごめんね最後まで話を聞かなくて。ごめんね最後まで迷惑かけて。雪斗との時間は長いようで短かったけど大切な思い出になりました。ほんとに今までありがとう。
『俺は死んだら一番星になってやる!』
昔からそう言ってたよね。雪斗のせいで宇宙好きになっちゃったじゃん、
カーテンを開けるとそこにはどんな星よりも輝く一番星があった。
ああ、雪斗やっと夢が叶ったね。空の高い高い所からどうか私たちを見守ってください。雪斗が居なくても、私っ、がんばるから、!かなしいけど、つらいけど、この世界で精一杯生きます。
だから、どうか一番星になった君へ届きますように。
ずっとずっと愛してる--------
【番外編】一番星
「ひなちゃーんっ!」
元気にこっちに向かってくる春乃はもう大学生だと言うのに子供のように無邪気に走ってきた。
私たちは大学生になりそれぞれ東京の大学を受けることになった。
私は宇宙の専門学校。春乃は美容系の専門学校に進学した。
「春乃!久しぶりーっ!」
春乃と会うのはほんとに久しぶりで今日はやることがあって集まったのだ。
「よし!行こうか!」
私たちが向かうのは私たちの故郷、鶴ケ丘市だ。
久しぶりの帰省でワクワクもするし緊張もする。
電車に乗り2時間ほどで鶴ケ丘市に到着した。
向こうを出るのが遅くて着いた頃には空に満天の星が輝く時間だった。
1度実家に戻ってから私たちはもう一度集まり海に向かった。海に行くと数人の人だかりがあり気になって近くに行ってみると
「あれ?松本と川口?」
「え?!坂本くん?!」
そこにはなんと高校のメンバーが集まっていた。久しぶりの再会にみんなで盛り上がっていました。
「ん?でもなんでみんながここに?」
こくこく、と春乃が頷く。
「はあ?お前ら馬鹿なのかよ今日は大事な日だからな!集まって当たり前よ!」
「誰が馬鹿よ!誰が!」
頬を膨らませて春乃が反発する。
『大事な日』そうか、みんなもちゃんと覚えてくれてたんだね。
そう、今日は雪斗たちの誕生日でありお別れをした日なのだ。
「もう3年か、早いな」
そう言いながら坂本くんは寂しそうな顔をして空を見上げた。
そして
「おーい!東雲兄弟!お前らの恋人が来てくれたぞーー!!!」
と空に向かって叫んだ。
『ちょ、ちょっ!私雪斗、彰斗と付き合ってないし?!』
春乃と同じことを言って吹き出してしまった。
「へぇー?そんなこと言っていいんだ?あいつら可愛そ〜」
ニヤニヤしながら坂本くんが見てくるので春乃は顔を赤くしながら
「もうっ、」
と言ってそっぽを向いてしまった。
雪斗と恋人になりたかったな、でも最後に夢の中で言ってくれた言葉今でも鮮明に覚えてるから。
『おれ陽菜のこと愛してる』
私もだよ、ずっとずっと大好きだから。
私は春乃にちょっとまっててと言って最後に夢の中で抱き合った砂浜に行ってみた。
空にはあの時と同じように星が輝いていて寄り添うように2つの一番星が私を見つめていた。
「ねえ、雪斗。いつも見守ってくれてありがとう。坂本くんみたいにいっぱい会いに行けなくてごめんね。私、雪斗がなりたかった宇宙の仕事頑張ってみるね!ありがとう、!だいす、きっ、!」
最後は涙が溢れてしまった。もう3年もたったんだ、3年たってもこの苦しみから解放されない。ずっとずっと胸の中でキラキラ輝く雪斗がいて苦しくて仕方ない。
春乃はこっそりと大学の先輩と付き合っているのを知っている。じゃあ私は?誰かとこっそり付き合っていいのかな?
いや、無理だ。私は雪斗しか考えられない。これまでもこれからも。宇宙の仕事をしながら雪斗みたいに早く亡くなってしまう人が減るように私なりの努力をしよう。
雪斗みたいに優しくなろう。と私は心に誓った。その時ふっと風が吹いて空に雪斗の顔が映り
「がんばれ」
と言ってくれたような気がした。
【あとがき】
本日は!「一番星の君へ」を読んでくださりありがとうございました!初めての本なので少し緊張しますっ、、!w
今回のお話は完全な私の空想という訳ではなくて、私の過去の幼なじみ「雪斗」「彰斗」「春乃」とあった出来事を思い出しながら描きました。
(東雲兄弟の本名を使うのは2人の親に許可を取っています。春乃は私が考えさせてもらった名前です)
私の幼なじみの東雲兄弟は私が小学四年生の時に事故で亡くなってしまいました。この2人と出会ったのは幼稚園のときで、年中の時に別の街へ引っ越していきました。戻ってきたのは小学二年生のときでずっと楽しい時間が続くと思っていました。
小学三年生の終業式の日雪斗が
「ごめん、俺明日引っ越す」
と急に伝えてきました。私はその時、悲しいという感情よりも怒りの感情が勝ちました。なんですぐに伝えてくれなかったのか、もっと早く伝えてくれたらお別れ会だって出来たのに。と一方的な意見を雪斗に押し付けてしまい喧嘩した状態でお別れをしてしまいました。
小学四年生の8月8日親同士が連絡を取り合い遊園地に行くことになりました。そしてあの時のことを謝ろうと思いました。しかし謝れませんでした。雪斗たちは私たちのところに来る途中に事故でなくなってしまったのです。生き残った人お母さんだけでした。この時私はあの日の会話を悔やみました。なんで、笑顔で送ってあげなかったのか。なんで喧嘩してしまったのか、と。
私とは違うけど大切な人を亡くしてしまった人はこの世に沢山居ます。私のように最後に悔やみきれない思い出がある人も沢山いらっしゃると思います。それでもどうか陽菜のように強く前を向いて、その人の分まで生きてください。辛いことがあっても、苦しいことがあってもどうか、生きてください。たまには息抜きもいいと思います。嫌なことから逃げるのもいいです。でもあなたの命を繋いでくれた大切な人のことを思いながら、今日という日を精一杯一緒に生きていきましょう。
長々と話してしまいすみません。最後まで読んでくださりありがとうございました。
まだ分からないの?
君が、私にとってなんなのか
君は誰よりも優しくて素敵な人なんだよ
私の想いにもまだ気づいてないの?
気づかないなら何度だって言うよ
ずっと、ずっと愛してるーーーーーーーー
【もくじ】
プロローグ
序章 流れ星
1章 アルタイル
2章 デネブ
3章 ベガ
4章 夏の大三角形
5章 アンタレス
6章 ペルセウス座流星群
7章 ベテルギウス
終章 ブラックホール
番外編 一番星
【序章】流れ星
「お、ひ、、のこ、い、て、」
暗闇の中で一番星のように輝く君が何かを私に向かって囁いてる。でもなんて言っているのか聞き取れない。なんだろうと手を伸ばす
「お、れも、ひ、の、こ、あい、て、る」
「ひなあ?!遅刻するよ?!」
そんな声で目が覚めた。ドスドスと階段を昇ってくる音が聞こえてくる。
「あー、今起きたすぐ行く」
目を開けるとそこは見慣れた自分の部屋の天井だった。
「なんだ、夢か」
そんなことを呟きながら壁にかかっている時計を見ると、登校時間の5分前だった。
「うぁ、やば」
急いで階段をおりて朝食を食べに行く。
でもご飯を食べている時もさっきの夢が気になりすぎて親の言っていることが入ってこなかった。何だったんだろ、あの夢。どことなくあいつに似ていた気がする。あいつと会えたら幸せなのにな、、。
そう、『あいつ』とは私の幼なじみで
私の好きな人。でも、あいつは昔どこが遠くの街に引っ越して行った。
それからもう3年以上会っていない。
あいつが居なくて苦しい日々もあったけど今日、こうやって高校生になることが出来た。だから、私はあいつが居なくても頑張ることにしたんだ。そう決意し、私は家を出るため玄関に行った。
風邪で1週間遅れて頑張って入学した高校に登校するのはなんだか気が引けたけど渋々家を出ようとした。
「陽菜、1週間も遅れて登校だけど大丈夫?無理しないようにね」
とお姉ちゃんが声をかけてくれた。私はお姉ちゃんが大好きだ。しっかり者で可愛くて優しいお姉ちゃん。
「大丈夫っ!頑張ってくるね!」
「そう、わかった!無理はしないよーに!あ、あと外で待っててくれてるんだからはやくいきなさい」
そう言ってお姉ちゃんは可愛くウインクをした。
え?待ってる?だれのことだろ、、まあいーや
「はーい、いってきまーす!」
そう言って家を出た時、私は動けなくなってしまった。だって、だってそこにはあいつがいたから。
「え、ゆき、と?」
そう、そこには幼なじみの東雲雪斗と彰斗がいたのだ。2人は私が3歳の時に隣に引っ越してきて親が家にいることが少ない私はよく2人の家にお邪魔していた。その後中学一年生の時に2人が引っ越して疎遠になってしまったのだ。そしてあいつ、そう東雲雪斗は私が3歳の時から想いを寄せている男の子だ。向こうはどう思ってるのか知らないけど。
「よお、陽菜おせーぞ」
「ひなちゃーん!待ちくたびれちゃったよぉ、」
そう言って2人は今までの空白の時間が無かったかのように話しかけてきた。
「え、?」
目の前の雪斗はキラキラ輝いてるように見えた壊れた心を癒してくれるような優しい光。雪斗は小学生時代とても人気があった。運動が得意でコミュニケーション能力がとても高く誰とでも仲が良かった。
一方彰斗は大人しくよく本を読んでいるような子。勉強も得意でよく一緒に雪斗に勉強を教えていた。
昔は私の方が2人よりも身長が高かったのに、今では私の頭一個分ほどの身長差があった。
「な、んで?2人ともここに、?」
私が首を傾げると
「そりゃ、陽菜と同じ高校だからだよ。何言ってんだ?」
「そうだよ?寝ぼけてる?ひなちゃん」
2人はニコニコの笑顔で説明してきた。
え?2人とも戻ってきたってこと、?
「まあ、1週間風邪で寝込んでたもんな〜感覚バグるのもしゃーない」
そういって雪斗はくるりと方向転換して
「早く行くぞ」
とそれだけ言った。
「え、ちょ、まってよ!2人とも戻ってきたんだね、おかえり!」
そう言うと、2人は首を傾げてきた。
「おかえり?何言ってんだよw俺らずっと一緒にいただろ?まじで寝ぼけてんのかよw」
「ひなちゃんやっぱまだ体調悪い?休む?」
え?何言ってるの?私は中学時代2人が、雪斗が居なくて辛くて悲しい思いしたのに、、、2人こそ何言ってるんだろう、、?
彰斗が心配そうに覗き込んできたので私は
「だ、いじょぶ。早く行こっか」
としか言えなかった。
私の受験した学校は私たちの住む鶴ケ丘市で一番頭のいい日向高校だ。
日向高校へは、徒歩15分でつく。登校している途中に私の大好きな海が見えたり、山が見えたりする。信号も1つ渡るだけなので事故に巻き込まれる確率も少ない。
ちら、と横を見ると雪斗達がじゃれあっていた。いつまで経っても子供だなあ、、w
でも、本当に2人との中学校生活を思い出せない。まるであの時間が空白になってしまったようだ。
信号を渡ろうとした時、急に2人が歩く足を止めた。
なんだろう?と思い、2人の顔を見ると、
「っ、」
とても、とても苦しくて辛くて悲しい顔をしていた。言葉では表せられないくらいの悲しい顔。
「ふたり、とも?」
私が話しかけると2人ははっとしたように
「あ、ごめん」
と、それだけ言って急に私を真ん中にして手を繋いできた。
「なななな、なに?!」
急に手を繋がれたことにびっくりして声が裏返ってしまった。
「ん?w声裏返りすぎなww別にいーだろこんくらい。」
「そうそうっ!昔はこうやって手繋いでたじゃあん」
そんな話をしてるうちに信号をわたりきった。その後は私が真ん中のままだったが、手は離してくれた。
なん、だったんだろ、、あの顔も。
その時、私は何か嫌なことが起こる。と思ってしまった。
【1章】アルタイル
「おっはよーございまーす!」
教室に着くと雪斗は大きな声で挨拶をした。
私たちは見事に同じクラスで1年B組になった。
雪斗を見た途端近くに人が沢山寄ってきた。
「おーいw雪斗お前朝っぱらから声でかすぎ」
「雪斗くん元気だねw」
「東雲〜その元気分けてくれよぉ、」
など、雪斗はこの一週間でたくさんの友達を作ったらしい。さすがだな〜と思いながら席につこうとすると
「んぁ?誰だ?」
と、雪斗に一番最初に話しかけた坂本くんが言ってきた。
「あ、えと」
反応に困っていると
「うっわ!坂本〜そりゃないよ!陽菜は同じクラスだろ?風邪で1週間休んでたんだよ」
と雪斗が説明してくれた。そのおかげで近くにいた女子達が集まってきて
「陽菜ちゃんよろしく〜!」
「よろしくねっ!てゆーか髪の毛サラサラっ!」
「陽菜ちゃんかわい?!よろしくー!」
と、沢山話しかけてくれた。
私は髪の毛を褒められたのがいちばん嬉しかった。私の髪の毛はセミロング程の長さで、小さい頃から丁寧にお手入れをしてるのだ。
「ひなちゃんはずっと髪の毛のお手入れ頑張ってたもんね〜」
と、近くにいた彰斗も褒めてくれた。
そうやって少しクラスの子と話していたら
がらっと扉が開いて先生が入ってきた。
「ほ〜らお前ら〜出席とるけん席つけ〜」
私たちの担任は体育担当の小島先生という人だった。博多弁を使っている特徴的な先生だ。
私たちが急いで席に着くと先生は出欠をとり始めた。
私の席は窓側の前から4番目で前には
雪斗と彰斗がいた。
私の隣には席がなくて雪斗達が振り返ってこない限り誰とも離せないことに気づいた。
「東雲〜」
先生がそう呼ぶと
「おいおい〜東雲は2人いるんだぞせんせ〜名前で呼んでくださいよ〜w」
そうやって雪斗がふざけて先生に話しかけていた。最初はこんな口調で怒られるかと思ったけど先生は
「すまんすまんw東雲彰斗〜」
と呼び直していた。雪斗も先生もフレンドリーな人だなあと私は思った。
【2章】デネブ
【3章】ベガ
「転校生の川口春乃です!よろしくお願いします!」
「すんません遅れましたああああ」
今日は雪斗が来るのが遅すぎて彰斗と2人で登校した。すると私の席の隣に新しい机が置いてあり、転校生が来るんじゃないかと大騒ぎになっていた。案の定、転校生がやってきて自己紹介を始めようとしたのに、その声に被せて雪斗が教室に入ってきた。
「雪斗おせーよw」
「東雲まじでタイミング悪すぎww」
そうやって周りの子が雪斗の事を茶化している。
「いや、まって!言い訳ある!夜までゲームしちゃったんだよ!」
笑いながら言い訳をしている雪斗はとても笑顔で楽しそうにしていた。
前にいる転校生に目を向けると口に手を当ててくすくすと笑っていた。
腰ぐらいまである綺麗な髪を巻いていて、
メイクもバッチリな完璧美少女という子だった。しかもスタイルまでよくこれは男子にモテるなと思った。
「はいはい、そこまで。転校生が自己紹介するんだから早く座れ」
と、先生が言うと
「え?!転校生?!よろしくなー!」
と言いながら雪斗は自分の席に着いた。
ほんっと、自由なんだから、、
「え、と川口春乃です!東京から親の仕事の都合で引っ越してきました。よろしくお願いします!」
転校生は簡単に自己紹介をし、私の隣まで歩いてきた。隣に座る時、バニラのような香水の匂いが漂ってとてもいい匂いだった。
「よろしくね!わかんない事だらけだからわかんないことあったら聞くかも!」
と、彼女は私に話しかけてきた。
「うん、よろしく!私は陽菜だよ、いくらでも聞いてね」
「ひなちゃん!いい名前〜!私のことはなんて呼んでもいいよ〜」
そうやって彼女はにこっと笑って見せた。
「じゃあ、春乃で!よろしくねっ」
「よろしくよろしくー!」
高校生活でやっと友達ができたと思い私は心の中でガッツポーズをした。
前に座っている2人がくるりと後ろを向き
「俺雪斗!よろしくな〜!さっきはすまん」
「よろしくね雪斗くん!全然いいよ〜」
「僕彰斗、よろしく」
彰斗も自己紹介をすると
「わあ!双子なんだ〜!彰斗くんもよろしく〜!」
「うん、よろしく」
【4章】夏の大三角形
【5章】アンタレス
「よっっしゃあぁぁぁ!夏休みだぜぇぇぇぇ!」
終業式が終わったあとまだクラスに人が残っているのに雪斗は大声で喜びをあらわにした。
くるっと私の方を向き
「なあ陽菜〜彰斗も春乃もなんだけどさ今夜流星群見に行かね?」
と私たちに言ってきた。
「この時期だとアンタレスも見れるし!」
と、付け加えて。アンタレスはさそり座の一等星。雪斗が1番大好きな星だ。でも理由をずっと教えてくれない。
え?流星群?流星群って見えるの夜だよね、、、?
「えぇ〜やだよぉ、暗いし怖いって、おにーちゃんがおかしいの!」
「私も少し怖いかなあ、」
と、2人はあまり乗り気ではなかった。
そりゃそうだ。高校生でも夜中に歩き回るのは危ない。それに最近この近くで強盗事件があったばっかりだ。
「はあ?2人ともビビりだなあ、陽菜は行くよな?な?」
と圧をかけながら言ってきたので後にひけず
「い、いける」
と言ってしまいほとんど無理やりついて行くことになった。
「えーじゃあ春乃ちゃんは僕と一緒に明るいところ行く?」
「いこいこっ!」
と2人は2人で出かけるらしい。
最近2人は仲良くなった気がする。最初はお互い「東雲くん」「川田さん」と呼んでたのにな。と思い、ふっと笑みをこぼしてしまった。
「んじゃ、陽菜!俺ん家に9時集合な!」
と私にメモを渡してきて雪斗は部活に行ってしまった。
メモには乱暴な字で
・あったかいの・懐中電灯・夜食・俺のジュース
と書かれていた。俺のジュース、、?買って来いってことかなw
春乃も部活があったので久しぶりに彰斗と一緒に帰ることになった。
途中でコンビニに行き頼まれたものを買ってから一緒に家に帰った。家は前と同じく隣なのでほとんど最後まで彰斗と一緒だった。
「ねえ陽菜ちゃん」
「な、なに?」
急に名前を呼ばれてビックリして声が裏返ってしまった。
「あはは!声裏返りすぎ!」
「びっくりしたんだもん〜、、」
彰斗の笑顔は雪斗よりも暖かくポカポカしている笑顔だ。
「陽菜ちゃんっておにーちゃんのことすきでしょ!」
と少し身をかがめて顔を覗きながら言ってきた。
「へっ?!雪斗?!ないない!好きじゃないよ!」
「えー?ほんと?また声裏返ってるよ〜?」
意地悪な笑みを浮かべて私をのぞきこんでくる。
彰斗は誰にも負けない可愛さを持っているがこうやって覗き込まれるとちゃんと背が高くて男の子なんだな〜と実感してしまう。
「そ、そっちこそっ!春乃のこと好きでしょ!」
と聞くと
「は、へあ、あの、そ、の」
といいあからさまに動揺している態度をとった。わかりやすいなあw
そんな会話をしながら海の前の道路を渡ろうとした時、急に彰斗がピタッと止まりあの時と同じの悲しい、苦しい表情をしていた。
「彰斗、?」
私が声をかけるとビクッとして
「あ、ごめんね」
とそれだけ言ってきた。そのまま彰斗は何も言わずに私の前を立って手を繋いで道路を渡ってくれた。私が昔車に轢かれそうになったのをトラウマに感じてると思ったのだろう。あの登校初日の時も、花火の時も。
道路を渡るとすぐに家に着いたので彰斗と別れて自分の部屋に戻った。
8時半になり家を出る準備をしていた時
ピコンと、通知音がなった。
春乃からの連絡だった。
『ねね、!陽菜ちゃんは今日お洒落してく?』
という連絡だった。きっと春乃はオシャレをするのだろう。でも、私はあまり興味がなくシンプルなワンピースを着ていくつもりだ。こんなのお洒落じゃないよねー、と思っていたら
『陽菜ちゃん夏祭りに来てたワンピース着たら?星と一緒に白のワンピースが揺れてる写真絶対バズる!』
と連絡が来た。
『ちょうどそれ着るつもりだったw』
もしかして私も案外女子力?って言うものがあるのだろうか。
『さぁすがっ!私はジーンズの短パンに、白のオーバーサイズのシャツ着るつもり!』
『いいねっ!めちゃ似合いそう写真送ってよ〜』
『じゃあひなちゃんもおくってねっ!』
そんな会話をしていたらいつの間にか時間が経っていてもう50分になっていた。
急いで昔雪斗から貰ったうっすらピンク色のリップをつけて斜めがけのショルダーバックをしょい雪斗の家に向かった。
インターホンを押すと
『入っていいよ〜鍵かけてないから』
と言われ中に入った。雪斗たちの家は広いのにどこか寂しい。雪斗たちの親は夜遅くまでの仕事が多いからよく兄弟だけで過ごすことが多いと言っていたのを思い出す。
私もよく親と喧嘩した時に雪斗の家におじゃましていた。
雪斗の部屋は2回なので階段を登って
「おじゃましまーす」
とそっと扉を開けた。
「お!陽菜!んだよ〜前みたいに窓から来ればよかったのに」
とニヤニヤ笑いながら言ってくる。
そう、それは私の黒歴史だ。昔は活発で野生人のような幼少期を思い出すだけで恥ずかしくなる。私の部屋とゆきとの部屋は隣同士で窓からジャンプすれば届くのだ。
1度夜に雪斗を脅かそうとして窓に飛び移ったら出来るということが分かったので
何度も何度も繰り返していた。
「もー、、それ!昔のことでしょ!黒歴史だからやめてっ」
「はいはいwてか!ジュース買ってきた?」
少し口を開け八重歯が覗いている。あぐらをかいて手を出してくる雪斗は少しかっこいい。って!いやいや別にかっこよくないし?!こんなガキみたいなのをを好きになるわけないし?!
「ん」
それだけ言ってスプライトを渡した。雪斗は昔から炭酸ジュースが大好きでその中でもスプライトが一番好きなのだ。
「うぇ?!まじ!ありがとう陽菜!てかなんでそんな顔赤いん?」
えっ、顔赤い?!最悪うぅぅ、、何勝手に考えて照れてるんだろ....
「なんでもないし?!てゆーか時間は?もう9時半になるけど」
と聞くと
「はあ?お前バカなのかよ流星群見れるのは3時頃でぇすw」
はあ?3時?!なんでこんな時間から集まったの?!雪斗相変わらず何考えてるか分からないやw
「ええ?!なんでそんな遅いの?!」
「なんでって言われても、星って夜にしか見えねぇし」
「そんな遅くまでいたら危ないでしょ?!しかも山登るんだよね?真っ暗なのに登ったら危ないって!」
「だから懐中電灯頼んだんだぞ?」
雪斗の危機感の無さにしびれを切らしてしまった私は
「もう雪斗なんか知らない!」
と言って雪斗たちの家を飛び出してしまった。
後ろから雪斗が叫んでいるのが聞こえたけど気にせずに私は自分の家に戻った。
部屋に着くとどっと疲れが出てお風呂も入らずに寝てしまった。
キキーーーーー!!
そんなブレーキ音が頭の中で響き渡る。
その直後背中に強い衝撃が当たった。
そのまま私は飛ばされて道路の反対側の草むらにたおれた。
(なんだろ、夢?夢なのに、、体が痛いっ、、、)
意識が遠のいていく中誰かが私の名前を叫びながら近寄ってくる気がした。
「夢、か」
起きると身体中びっしょりで背中に服が張り付いて気持ち悪かった。昔、私がトラックに跳ねられそうになった怖い記憶がよみがえってきて苦しくて仕方なかった。
時計を見るともうお昼過ぎで長い時間眠ってしまってた。
しばらくして気持ちが落ち着いたので
シャワーを浴びて自室に戻った。
そういえば、雪斗大丈夫かな、、、
昨日置いてきちゃったし、、あのあと一人で行ったりしてないよね、?
気になって仕方がなかったので彰斗に電話をかけることにした
『もしもし?どうしたの?めずらしーね』
電話をかけるとすぐに繋がった。
「ごめんね、急に。雪斗、へーき?昨日少し喧嘩しちゃって、、、置いてきちゃったんだよね、、、」
『おにーちゃん?あー腕とかに擦り傷できちゃってるやあ、、昨日山に星見に行って転んじゃったんだって』
え、怪我?どうしよ、、私のせいだ。私のせいで雪斗に怪我をさせてしまった、、、
『喧嘩しちゃったの?めずらしいね〜でもお兄ちゃんもなんかずっとどんよりしてるから仲直りしたいと思うよ!』
「そうだよね、ちゃんと話してみる!ありがと彰斗!!」
『いえいえ!いつでも頼ってね〜』
電話を切ったあと雪斗にメッセージを送った。
『家の外来て』
それだけ。すぐに既読が着いて
『分かった』
と返信があった。
私が外に出るともう雪斗は外にいたので
「ごめんおまたせ、いこっか」
と言って目的地もなく私は歩き始めた。
【6章】ペルセウス座流星群
雪斗を連れてきたのはいいものの一体どこに行けばいいのだろう。星を見に行く?いや、星のことがあって喧嘩してしまったんだから余計にだめか、じゃあ海?でもな、海って危ないよねー、、それに海って星も映るからなあ、、どーしよ
「陽菜」
急に無言だった雪斗に名前を呼ばれた
「なあ、陽菜ごめん陽菜のこと傷つけないようにしてたのに、、ごめん」
そう言って雪斗はまた黙ってしまった。
私はなんて言ったらいいんだろう、今回悪いのは完全に私だ。余計なお節介で雪斗を怒らせてしまった私に非がある絶対に。
「な、んであやまるの?」
「だって、陽菜は俺の事心配してくれてたのに、、無視して怪我して馬鹿だろ俺」
そう言って腕の絆創膏をつついた
「で、も私のお節介のせいだから」
「いや、おれが」
「わたしだよ、」
と言ったところで2人で吹き出してしまった
「もおーww雪斗がんこだなあw」
「はあ?wそっちもだろw」
「ふふwごめんね雪斗」
「こっちこそ、ごめんな」
私の目をまっすぐ捉えている雪斗の目にはたくさんの星が反射していてキラキラと輝いていた。
「どこ行く?なんも考えてなかった、、」
すると雪斗は目を輝かせて
「じゃあ俺ん家来てよ、ベランダから星見えるようにしたからさ!それならいいだろ、?」
たのむ!とでも言うように顔の前で手を合わせて言ってきた。
「しょーがないなぁ、それならいいよ」
私が渋々答えると、よっしゃー!と言って雪斗は大ジャンプをした。ほんと、いつまで経っても子供なんだから、、w
私たちは来た道を戻り家に向かった。
1度私は家に帰って準備をして9時に家に行くことになった。
雪斗達の家に入ると彰斗が居て、すれ違いざまに
「よかったね」
と、こそっと言ってくれた。
彰斗も今から出かけるらしくバックを持って出かけて行った。
春乃かな、、?そんなことを思いながら雪斗の部屋に向かった。
雪斗の部屋のベランダはそこまで広くないが快適なスペースになっていた。
ふたつの椅子、望遠鏡、飲食物、ミニテーブル、と言ったシンプルなものだったがとてもここで過ごすのが楽しそうでワクワクしてしまった。
「ん、これ」
そう言って雪斗は私に毛布を渡してくれた。真夏だと言うのに夜は潮風が吹いて少し肌寒かった。だから毛布をくれたのはありがたかった。
その間に雪斗は望遠鏡をカチャカチャと設定していて私はその姿をボーッと見ていた。
「よし、できたよ」
と、雪斗はくるりと振り返って私を見た。
覗いて見て、とでも言うように雪斗は私を手招きしてきた。望遠鏡を覗いてみるとそこには、どんな星にも負けない強く、赤い星があった。
「わぁ、」
「すげーだろ!これがさそり座の一等星『アンタレス』この星って遠すぎるからここからだとあんまり明るくないけど、本当はすっげーでかくて明るい星なんだ」
雪斗は目をきらきらさせながら説明をしてくれた。アンタレスは本当に綺麗だった。
今まで見てきた星の中でいちばん強く輝いてるように見えた。そこで、私はずっと疑問に思っていたことを聞いてみた。
「ねえ、雪斗はなんでアンタレスが好きなの?」
そう、雪斗はずっとこの理由を教えてくれなかったんだ。ずっと、ずっと気になってたことの一つだ。
「んー、覚えてないのかよ、」
「え?」
雪斗は宇宙の遠くを見つめながら話し出した。
「陽菜がちっせぇころ親と喧嘩して家出たことあっただろ?そんときにさ、俺も探しに行ったんだよ。」
あ、もしかして、、、
「お?その顔はなんか思い出したか?」
にやっと笑いながらこっちを見てくる。
「う、ん何となく、、、」
「それでさ、あの山にある秘密基地にいるだろ〜って思って行ったら案の定いてさw俺がかえるぞ〜って言ってもお前動かなくて」
「『あの星綺麗だから帰らない』でしょ?」
「そうそうそれ!wその星がアンタレスだったんだよ。おれが引っ越す時にもさそり座のキーホルダーくれたしな」
そう言って雪斗が引っ越す時にあげたさそり座のキーホルダーを見せてくれた。
新品の時とは少し色もあせていていたが
とても綺麗だった。
「俺の宝物」
そう言った雪斗の顔はどことなく赤くなっている気がした。
すると、急に眠気が襲ってきて私はその場で寝てしまった。
「ね、がい」
なんだろ、また夢?
「おねが、きて」
だれ?
「お願い起きて!」
春乃、?
起きてってどーゆーこと、、?
「ゆめなのっ、ぜんぶ!ひなちゃんはっ、雪斗くん達の誕生日の日、死、、、」
あ、れ?何も聞こえなくなった、、、
なんて言ったんだろ、、、
『死んだ』最後、そう聞こえた気がする。
ん?どゆことだ、、?
「はや、きな、んじゃ、う!おね、い」
泣きながら春乃が必死に訴えていた。
春乃、?どうしたの、、?
春乃が遠ざかって顔が見えなくなった時私は目が覚めた。
目を開けると雪斗が覗き込んできた。
「おまえなぁ、寝るなよww」
「ご、めん」
空を見ると流星群が沢山飛んでいた。
「綺麗だな」
そう言う雪斗の横顔は少し悲しそうだった。
私、が死んでる?
死んでるわけが無い、私は、、生きてるよ?今こうやって雪斗と話してる。
痛い、美味しい、嬉しい、大好き
そう言った感情だって、あるのに、、
なんかの、悪い夢だよね、、
雪斗を見るのいつもの元気な顔とは裏腹に少し、いや、もっと悲しい顔をしていた。
「ねぇ、雪斗。海、行こ」
雪斗は何も言わずに頷いてくれた。
外に出たあとは雪斗がずっと手を繋いでくれていた。それが、私を余計に不安にさせてしまった。
私は、死んでいたのか。これは、私のために用意された幸せな夢なんだ。
私の単なる考察だけど、、私はもう死んでいて、これは夢。夢の中で過去に戻っているんじゃないかな。でも、なんで死んだんだっけ、、、あぁ、トラックだ。あの日、あの場所でわたしは、トラックに跳ねられて死んだんだ。
【7章】ベテルギウス
「雪斗、今から変なこと、聞く、」
ずっと気になってた。眠る度に雪斗関係の夢を見る。その内容が全て『死ぬ』に繋がるから。
初めて登校した日道路を渡る私を真ん中に2人は手を繋いでくれた。その時雪斗はとても、とても悲しくて辛くて苦しい顔をしていた。海で遊んだ時も、今こうやって手を繋いでくれたことも。雪斗は私をずっと気にかけてくれた。だから、そう言う事だと思う。それに、2人は花火を見に行こうって言った時
『多分中止だからやめよ』
って言った。
しかもそれ、合ってた、、だから、だから、、
「あのさ、ゆき、、、」
「陽菜」
私の声にかぶせて私を呼んできた。
「っ、、、」
雪斗は泣いていた。あの時よりも苦しい顔だ。
「雪斗、」
「、、、うん、どうした?」
「あの、さ私、、もう死んでるんだよね、!これは、、夢の中で過去に戻ってるんだよねっ、、!」
あえて元気に笑顔で言う。そうしないと雪斗がもっと、もっと苦しい顔をしてしまうから。私なんでどうでもいい。雪斗にこれ以上苦しい思いをさせたくない。
「な、んで?なんで?ちがう、陽菜は、、」
「いいのっ、!ねえ雪斗?」
「なに、?」
「私がちっちゃい時にさ保育園でぬいぐるみ取られちゃって泣いてた時助けてくれたよね。小学生の時もいじめっ子やっつけてくれたよね」
「うん、うん」
雪斗はしっかりと私の話を聞いてくれた。
「中学校の時2人が転校しちゃうの悲しかったー、ああ、また1人だって思っちゃったんだよね、でも毎日雪斗を思い出して頑張れてた」
「やっぱ、俺たちが中学時代いないのも気づいてたんだな、、、」
私はこくこくと頷いた。
しっかり言えたかな、私ももう涙が止まらなくなっていた。声、裏返ってなかったかな、、、。
「だ、からっ、わたしはっ、もう大丈夫、いつも、私の事支えてくれて、ありがとっ、!」
「陽菜っ、、、」
そう言って雪斗は私に抱きついてきた。
苦しいくらいに。私をどこにも行かせないようにと。
「陽菜、、行くな、だめだ、、」
何度も何度も噛み締めるように私の名前を呼んでくれた。
「雪斗、」
私も何度も名前を呼ぶ。
「行かないで、くれよ、、、」
誰もいなく静かな海で一番星を見上げながら私たちは笑い泣きそしてお別れをする。
「雪斗、私っ、雪斗の事だいすきっ、ずっとずっとっ、」
最後は精一杯大好きと伝えた。これで、もう悔いは無い。雪斗、今までありがとう、私の事なんか忘れて幸せになってね。私は雪斗が幸せになる事願ってるから。じゃあね雪斗。
ありがとう
ごめんなさい
あいしてる
意識が遠のいて行く時私は聞こえた。しっかりと
「おれも陽菜のこと愛してる」
【終章】ブラックホール
ああ、私は死んでいたんだ。雪斗を、家族を置いて死んでしまったんだ。春乃もごめんねいつも迷惑かけて。お母さんもお父さんもお姉ちゃんも、今までごめんなさい。
そしてありがとう。みんなの事ずっと空の上から見守ってるからね。どうかみんなが幸せになりますようにーーーーーーーーーーー。
「陽菜」
「ひなっ、」
「陽菜ちゃんっ」
「陽菜!」
ん?なんだろ名前、?呼ばれてる
天国で倒れたりしたのかな、w
また貧血かなwあの時は雪斗に助けてもらっちゃったなあ
まぶたの裏にかすかに光を感じる。
重い瞼を開けるとそこには見慣れない天井が映った。
う、、、なにこれ体が動かない、痛いっ、
なに、これ
そんなことを思ってると急に
「わあああああ!」
と歓声が上がった
なんだろ、
「陽菜!」
「陽菜!!」
次々に私を呼ぶ声が聞こえてくる
しっかりと目を開けるとそこには
「おかーさん、おとーさん、?おねーちゃん?はる、の?」
そこには、みんなが居た。雪斗たちを除いて。どーして、?みんなも死んじゃったの?
「陽菜、大丈夫か?どこか痛くないか?」
「陽菜っ、生きててよかった、、、」
え、なんで?雪斗は?なんで、私生きてるの?なんで、なんでなんで?!雪斗は?どこ?
お医者さんが
「今日は疲れてしまうと思うのでまた明日しっかりと話をしましょう」
と言ったのでみんなが出ていこうとした。
「まって、!はる、の!」
カスカスの声で何とか春乃を引き止めて少し話をさせてもらう事にした。
「え、ねえ春乃、雪、、、」
「あのね、」
ずっと口を開いていなかった春乃が口を開いた
「彰斗くんが、雪斗くんがね私達を庇うために、、、死んだのっ、、」
涙を堪えきれず泣き出す春乃がそこに居た。
え、?なんで?雪斗は、死なないよ?死ぬのは、私、なんだよ?だって、あの夢は過去に戻ってたんでしょ、?
春乃を見ると前みたいに白くきれいな肌から魂が抜けたようになっており、目の下にはクマがあった。所々傷の手当をしていて前の美人で女子力の高い春乃とは別人のように見えた。
「え、ちがうでしょ、?だって、雪斗は、、」
春乃はぶんぶんと首を振った
「私達、2人の誕生日の夜にさ海に行って星見よって言ったの覚えてる、?」
「うん、覚えてる」
「その時ね海の手前の交差点でトラックが突進してきて、、、それでっ、、、」
春乃は涙を流しながら続けてくれた
「彰斗くんは私を、雪斗くんはひなちゃんを庇って、、私達も大怪我したんだけど2人は、すぐに息を引き取って、、、私も3ヶ月間目を覚まさなかったんだって、でも、、陽菜ちゃんの方が重症で4ヶ月も眠ってたんだよ、、、。」
『4ヶ月』その言葉にはっとした。私が雪斗と夢の中であった日4月8日から雪斗たちの誕生日、死亡日は8月8日だ。ちょうど、4ヶ月、、私は眠っている間毎日のように何気ない日常をすごしていたのだ。そして私が死ぬと思っていたのは間違いで、あの時私と手を繋いでくれたのも道路を渡る時に険しい顔をするのも、全部全部、雪斗達が死ぬと言う苦しみを思い出していたからなのだ。と私は気づいた。
あぁ、そうか、そうだったんだ、、
私は涙が止まらなくなった。
「あぁっ、うぁああ、はる、のぉ、、」
春乃は何も言わず一緒に泣きながら私を抱きしめてくれた。
「あのね陽菜ちゃん」
急に真面目な顔になった春乃が私に顔を向けてきた。
「私、眠ってる間に彰斗くんと過ごす夢、、私が転校してきた日からあの、日までの、、夢を見てたの、、」
「え?春乃も?春乃も夢を見ていたの?」
春乃は少し驚いた顔をしてこくりと頷き頷いた。
「やっぱひなちゃんもだったんだね、!」
あぁ、そうか、そっかあ、2人は私たちを置いて旅立ってしまったのを悔やみきれずに夢で、一緒に過ごしてくれたんだ。ずっと、ずっと優しいなあの二人は。
「春乃。2人はきっと、私たちのために、私たちが目を覚ますように夢の中で導いてくれたんだよ、きっと」
春乃は泣きながらこくこくと頷いてくれた。
『な、んで?なんで?ちがう、陽菜は、、』
あの時、ほんとは
『死んだのは俺たちなんだ』
って言うつもりだったんでしょ。ごめんね最後まで話を聞かなくて。ごめんね最後まで迷惑かけて。雪斗との時間は長いようで短かったけど大切な思い出になりました。ほんとに今までありがとう。
『俺は死んだら一番星になってやる!』
昔からそう言ってたよね。雪斗のせいで宇宙好きになっちゃったじゃん、
カーテンを開けるとそこにはどんな星よりも輝く一番星があった。
ああ、雪斗やっと夢が叶ったね。空の高い高い所からどうか私たちを見守ってください。雪斗が居なくても、私っ、がんばるから、!かなしいけど、つらいけど、この世界で精一杯生きます。
だから、どうか一番星になった君へ届きますように。
ずっとずっと愛してる--------
【番外編】一番星
「ひなちゃーんっ!」
元気にこっちに向かってくる春乃はもう大学生だと言うのに子供のように無邪気に走ってきた。
私たちは大学生になりそれぞれ東京の大学を受けることになった。
私は宇宙の専門学校。春乃は美容系の専門学校に進学した。
「春乃!久しぶりーっ!」
春乃と会うのはほんとに久しぶりで今日はやることがあって集まったのだ。
「よし!行こうか!」
私たちが向かうのは私たちの故郷、鶴ケ丘市だ。
久しぶりの帰省でワクワクもするし緊張もする。
電車に乗り2時間ほどで鶴ケ丘市に到着した。
向こうを出るのが遅くて着いた頃には空に満天の星が輝く時間だった。
1度実家に戻ってから私たちはもう一度集まり海に向かった。海に行くと数人の人だかりがあり気になって近くに行ってみると
「あれ?松本と川口?」
「え?!坂本くん?!」
そこにはなんと高校のメンバーが集まっていた。久しぶりの再会にみんなで盛り上がっていました。
「ん?でもなんでみんながここに?」
こくこく、と春乃が頷く。
「はあ?お前ら馬鹿なのかよ今日は大事な日だからな!集まって当たり前よ!」
「誰が馬鹿よ!誰が!」
頬を膨らませて春乃が反発する。
『大事な日』そうか、みんなもちゃんと覚えてくれてたんだね。
そう、今日は雪斗たちの誕生日でありお別れをした日なのだ。
「もう3年か、早いな」
そう言いながら坂本くんは寂しそうな顔をして空を見上げた。
そして
「おーい!東雲兄弟!お前らの恋人が来てくれたぞーー!!!」
と空に向かって叫んだ。
『ちょ、ちょっ!私雪斗、彰斗と付き合ってないし?!』
春乃と同じことを言って吹き出してしまった。
「へぇー?そんなこと言っていいんだ?あいつら可愛そ〜」
ニヤニヤしながら坂本くんが見てくるので春乃は顔を赤くしながら
「もうっ、」
と言ってそっぽを向いてしまった。
雪斗と恋人になりたかったな、でも最後に夢の中で言ってくれた言葉今でも鮮明に覚えてるから。
『おれ陽菜のこと愛してる』
私もだよ、ずっとずっと大好きだから。
私は春乃にちょっとまっててと言って最後に夢の中で抱き合った砂浜に行ってみた。
空にはあの時と同じように星が輝いていて寄り添うように2つの一番星が私を見つめていた。
「ねえ、雪斗。いつも見守ってくれてありがとう。坂本くんみたいにいっぱい会いに行けなくてごめんね。私、雪斗がなりたかった宇宙の仕事頑張ってみるね!ありがとう、!だいす、きっ、!」
最後は涙が溢れてしまった。もう3年もたったんだ、3年たってもこの苦しみから解放されない。ずっとずっと胸の中でキラキラ輝く雪斗がいて苦しくて仕方ない。
春乃はこっそりと大学の先輩と付き合っているのを知っている。じゃあ私は?誰かとこっそり付き合っていいのかな?
いや、無理だ。私は雪斗しか考えられない。これまでもこれからも。宇宙の仕事をしながら雪斗みたいに早く亡くなってしまう人が減るように私なりの努力をしよう。
雪斗みたいに優しくなろう。と私は心に誓った。その時ふっと風が吹いて空に雪斗の顔が映り
「がんばれ」
と言ってくれたような気がした。
【あとがき】
本日は!「一番星の君へ」を読んでくださりありがとうございました!初めての本なので少し緊張しますっ、、!w
今回のお話は完全な私の空想という訳ではなくて、私の過去の幼なじみ「雪斗」「彰斗」「春乃」とあった出来事を思い出しながら描きました。
(東雲兄弟の本名を使うのは2人の親に許可を取っています。春乃は私が考えさせてもらった名前です)
私の幼なじみの東雲兄弟は私が小学四年生の時に事故で亡くなってしまいました。この2人と出会ったのは幼稚園のときで、年中の時に別の街へ引っ越していきました。戻ってきたのは小学二年生のときでずっと楽しい時間が続くと思っていました。
小学三年生の終業式の日雪斗が
「ごめん、俺明日引っ越す」
と急に伝えてきました。私はその時、悲しいという感情よりも怒りの感情が勝ちました。なんですぐに伝えてくれなかったのか、もっと早く伝えてくれたらお別れ会だって出来たのに。と一方的な意見を雪斗に押し付けてしまい喧嘩した状態でお別れをしてしまいました。
小学四年生の8月8日親同士が連絡を取り合い遊園地に行くことになりました。そしてあの時のことを謝ろうと思いました。しかし謝れませんでした。雪斗たちは私たちのところに来る途中に事故でなくなってしまったのです。生き残った人お母さんだけでした。この時私はあの日の会話を悔やみました。なんで、笑顔で送ってあげなかったのか。なんで喧嘩してしまったのか、と。
私とは違うけど大切な人を亡くしてしまった人はこの世に沢山居ます。私のように最後に悔やみきれない思い出がある人も沢山いらっしゃると思います。それでもどうか陽菜のように強く前を向いて、その人の分まで生きてください。辛いことがあっても、苦しいことがあってもどうか、生きてください。たまには息抜きもいいと思います。嫌なことから逃げるのもいいです。でもあなたの命を繋いでくれた大切な人のことを思いながら、今日という日を精一杯一緒に生きていきましょう。
長々と話してしまいすみません。最後まで読んでくださりありがとうございました。

