3人の少女に花束を


 6

「えっ?」
 私は言葉が出なかった。
 だって、偶然転校したところに、大好きないとこがいたのだから。
 私にとって、今日が初めての学校だった。いや、低学年ぶりの。
 だいぶ行ってなかったもんだし、通ったことのない学校だし。
 でも、ももちゃんがいるんなら、大安心だ。
 これは偶然というか、奇跡!席までこんなに近いなんて。
 私とももちゃんの間には、運命で繋がる糸があるのだろうか?

 休み時間、ももちゃんと話せる!と思ったのに、違う女子や男子に囲まれてしまって、話せなかった。

 でも、帰りは、ももちゃんともうひとりの女の子と帰ることができた。
 もうひとりの子は、和葉ちゃんというらしい。本が好きで、穏やかそうな子だった。
 ももちゃんと凄く仲がいいようだった。
和葉ちゃんと別れて、ふたりきりになった。
「ねえ、桃音ちゃん。」ももちゃんが私を見ていった。
「これはもう、奇跡だよね?」
 ももちゃんも同じように思ってたんだ!と嬉しかった。
「そうだよね!私も思った。」
「そうだ、せっかくだし、ウチ来る?」
「ありがとう!でもね、私の家に来てほしいの!」
「え、うん、いいけど、なんで?」
「それは、お楽しみ!」

 家にももちゃんを入れると、すぐにももちゃんの歓声が聞こえた。
 それは、ベットにいる、小さな私の妹を見たからだった。
「ええ!かわいい!何歳?お名前は?」
 お母さんが、優しくいう。
「今3歳よ。名前は、桃優っていうの。」
「へえ、この子もきっと、桃音ちゃんみたいに強くてかわいく育つね。」
 それは、私に向けられた言葉だった。
「あ、ありがとう。ももちゃんもかわいいけどね。」
 照れながら私がいうと、ももちゃんがいった。
「ありがとう。でもね、桃音ちゃんの方がよっぽど強いよ。わたしの、ヒーロー。」
「えっ?!私が!?」思わず大きい声を出してしまった。
「そうだよ。」
 私たちを、母と、桃優が見て笑っていた。
 最近、母が優しくなった気がする。仕事を辞めたからなのか、私が学校へ行くことにしたからか、桃優のおかげなのか…ともあれ、私は今とっても幸せ。