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「えっ?」
私は言葉が出なかった。
だって、偶然転校したところに、大好きないとこがいたのだから。
私にとって、今日が初めての学校だった。いや、低学年ぶりの。
だいぶ行ってなかったもんだし、通ったことのない学校だし。
でも、ももちゃんがいるんなら、大安心だ。
これは偶然というか、奇跡!席までこんなに近いなんて。
私とももちゃんの間には、運命で繋がる糸があるのだろうか?
休み時間、ももちゃんと話せる!と思ったのに、違う女子や男子に囲まれてしまって、話せなかった。
でも、帰りは、ももちゃんともうひとりの女の子と帰ることができた。
もうひとりの子は、和葉ちゃんというらしい。本が好きで、穏やかそうな子だった。
ももちゃんと凄く仲がいいようだった。
和葉ちゃんと別れて、ふたりきりになった。
「ねえ、桃音ちゃん。」ももちゃんが私を見ていった。
「これはもう、奇跡だよね?」
ももちゃんも同じように思ってたんだ!と嬉しかった。
「そうだよね!私も思った。」
「そうだ、せっかくだし、ウチ来る?」
「ありがとう!でもね、私の家に来てほしいの!」
「え、うん、いいけど、なんで?」
「それは、お楽しみ!」
家にももちゃんを入れると、すぐにももちゃんの歓声が聞こえた。
それは、ベットにいる、小さな私の妹を見たからだった。
「ええ!かわいい!何歳?お名前は?」
お母さんが、優しくいう。
「今3歳よ。名前は、桃優っていうの。」
「へえ、この子もきっと、桃音ちゃんみたいに強くてかわいく育つね。」
それは、私に向けられた言葉だった。
「あ、ありがとう。ももちゃんもかわいいけどね。」
照れながら私がいうと、ももちゃんがいった。
「ありがとう。でもね、桃音ちゃんの方がよっぽど強いよ。わたしの、ヒーロー。」
「えっ?!私が!?」思わず大きい声を出してしまった。
「そうだよ。」
私たちを、母と、桃優が見て笑っていた。
最近、母が優しくなった気がする。仕事を辞めたからなのか、私が学校へ行くことにしたからか、桃優のおかげなのか…ともあれ、私は今とっても幸せ。



