「……ねー彩さぁ?
高山さんに見事玉砕したことだし、ここは新しい恋なんかしちゃったらー?」
「───…ねぇナナちゃーん?
その“玉砕”って言い方傷付くからやめてくれるかなぁ~? 」
「んじゃあ“失恋”っ♪」
「──……もっと嫌だよ…」
「あはははっっ♪」
ハァと溜め息を付くあたしに、ナナはケラケラと陽気に笑う。
「……いやでも真面目な話ー、失恋したしー、春だしー。
───あっ!!
ほらよく言うじゃん!!
“男で作られた傷は男で癒やせ”って♪」
「……だからー?」
「────だから、ほらあの!!
───“朝岡さん”とかどうかなぁって!!!!!」
━━━━━ぶっ!!!!!
「ぎゃー!!!!彩きったなーい!!!何すんの~!!!!」
「……だ、だだだだって………。」
思わずあたしが吹き出してしまったミルクティーを拭いながら、ナナは思いっきり睨み付けてきた。
「だってはこっちが言いたいくらいだよ!!もう!!
あんなカッコイイ人、世の中にまたといないよ!?」
「………え゛……」
「超超カッコイイしステタース完璧じゃん!!!!
あんな人に思われてる彩が羨ましい!」
━━━━━バリッ!
ナナは勢いにまかせ、ポテチの袋を強く開封した。
「………いや、だからあの……
ちょっと待ってよ……
──…何で朝岡さんなの……?」
憤然と鼻息荒げるナナに、あたしは顔をひきつらせながら質問した。



