この教室にいないことだって、痛いくらい分かってる。
……でもね?
体は覚えてるみたいで困っちゃうよ。
────…カタン……。
自分の席を見つけ、座ってみた。
───…一年前までここで過ごしていたあなたの姿が、幻覚の如く視界に映る。
……ムダにドキドキして、バカみたいだけど。
「………」
……ねぇ?
確かにぶんちゃんもこの教室に座っていたんだよね…?
……って……
もう……。
本当に何でもこじつけちゃう自分に笑っちゃうな……。
────ふっ……と自分に呆れ笑いをしたその時。
「おっはー!!♪★」
突拍子もなく、あたしの背後からいつもの明るい声が聞こえた。
「おはよー♪ナナっ!」
サラサラと揺れる長いポニーテールを揺らし、ナナは陽気に手を振ってくる。
ナナの相変わらずな明るい素振りに、あたしも自然な笑顔が零れる。
「…いやーそれにしても、まさか彩と三年間一緒のクラスとはねー。」
ナナがカタカタと椅子を揺らし、ニカッと笑った。
「………ねー?
まさかだよね。」
──そう。
ナナも文理系に進路を決めていたから、あたし達はまた必然的にクラスが一緒になったんだ。
「まっ★また宜しくね♪
仲良くやってこーよ、彩。」
「うんっ!勿論だよ★」
あたしとナナはお互いを見つめ、にっこりと笑い合った。



