「───彩!待て!」
追いかけてくる朝岡さんを振り切ろうと、帰宅で人が溢れてる会場外に出る。
「来ないで!!!!
朝岡さんなんか嫌いだ!」
「彩!!!!」
朝岡さんに甘えすぎていた罰?
待たせ過ぎていた罰?
そうだよね、普通に考えて四年も我慢出来ないのが普通だもんね。
何股しようがセフレ作ろうが、所詮朝岡さんも男なんだ。
理性を失った頭は今まで築いてきた絆を一瞬で破壊していく。
━━━━━ドンッ!
全速力で走る肩に人混みがぶつかったその時…
「…─あ…」
ぶつかった“その人”を見て、更にガタガタと身体が激しく震えだした。
嘘でしょ
「──ど…して…っ…」
どうしてこの人が
「━━━━彩!
そいつから離れろ!!」
「───やっ…!
来ないで!!!!!!」
再び朝岡さんとの距離が近くなり、あたしはますます混乱する状況にパニックを起こし、声を上げながら走り出した。
「…──やっ…何──でっ…!?!?」
ワケが分からなかった。
ただこの現実から逃げたくて前に走った。
赤信号で、車が目の前に近付いているとも知らずに。
「───彩!!!!!
前っ…」
…───え…
そう叫ばれた時にはもう遅かった。
━━━━━キキィッ!
━━━━ガシャンッ!
─────……
フワリと宙に浮かぶ自分の身体と、目の前が一瞬で白から黒に変わった時。
「───彩っ───────…!」
グニャリと体が歪み、地面に叩きつけられ朝岡さんの叫び声を聞いた瞬間。
視界はプツリとそこで途切れた。
「…──……」
…──神様。
確かに全てを忘れたいと願った。
でも今じゃない。
“今”じゃないんだよ。
“どこにも行かない?”
“行かないよ。
あたしどこにも行かない。
朝岡さんを置いていったりしないよ”
── DEAR 2nd Life ──【完結】
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Dearest 2nd Moon...



