─────パタン。
朝岡さんが運転席に座り、閉め切ったドア。
横でキーを差し、ハンドルに手をかけてるであろう朝岡さんの姿が横目に映る。
うわぁ~、何かもう…
ホントどうしたらいいか分かんないくらい緊張するなぁ…
車にエンジンが入り、動き出す車。
あたしはと言うと、まだ運転中の朝岡さんを直視出来ず、目にはかろうじてハンドルと朝岡さんの手が映ってる状態……。
「・・・・」
カチカチに肩を強ばらせ、前一点を見つめてるあたしはさぞ不自然だろう。
────その時
━━━━━バッ!
「!?!?!?」
背もたれを急に持たれ、あたしはビックリして横向いた。
「───やっとこっち向いた♪」
「え、えっ!?!?」
「いやなかなかこっち向いてくれへんからさ~。」
背もたれを持ちながらバックしてる朝岡さんがストレートに視界に映り、途端に心拍数急上昇。
「非常に残念ながら、俺は運転中彩の顔見られへんから、逆に見つめてもらおうかと♪」
「──…朝岡さん意味不明だよ?」
「……うん、さすがにちょっと無理があるなと俺も思った。」
「ずっと見つめ続けたままだったらさすがに怖いっしょ~。」
「うん、軽くオカルトやよね。」
ふっとお互い吹き出し、笑い合った瞬間に肩の力が抜けていた。
朝岡さんはこんな人。
気づかないうちに緊張とか不安とか取り除いてくれる人。
自然に笑わせてくれる人。
いつも知らないうちにみんなに笑顔をくれる人だよね……。
…───それから二人は車内で他愛もない話に花を咲かせ
────…数十分後…
「……朝岡さんここ…」
「降りるか♪」
朝岡さんはあたしの手を取り、二人は車内からその地に降り立った。
────…ザァァァッ…
澄み渡る青い空。
ゆっくりと時間に沿って流れる白い雲。
風に揺れる緑の芝生。
空とあたしの間に咲き誇る、紅い梅の花。
「───…二人で来るの、かなり久しぶりやろ?」
「うんっ……!」
────…そう。
ここはいつかのあの山頂。
四年前に訪れた、二人にとって思い出の場所だった。



