「───…もし彩に万が一何かあったらって思ったら…
もう…何か───…
全然生きた心地せぇへんかった…」
───…曇りない本心。
不安を吐き出すように言ったあなたに、あたしは笑った。
「…大丈夫──…
あたし大丈夫だよ…
朝岡さん…」
今度はあたしが安心させてあげたくて、ギュッと強く抱き締める。
「彩…っ」
引き寄せたあなたはとても冷たくて、体の芯から冷えきっていたね。
それだけで、言葉なくともあなたの思いの強さが伝わってくる。
…───ありがとう。
「…───あのさ。
もうそろそろあたしの存在思い出してくれていいんじゃない?」
────…シュボッ!
雪に舞う炎と煙草の煙。
呆れた目をしてあたし達二人を見つめ、フーッと煙を吐き出すマリア様の姿。
「…あ、ご、ごめ…っ!」
パッと勢い良く離れ、あたしはぎこちなく手を下ろす。
「…ま、別にいーけどね」
キュッと煙草を押し潰し、マリアは相変わらず冷めた目付きであたしと朝岡さんをジッと見つめ──…
「───…うん、でも。
良かった。
……ほんとに。」
マリアは、普段滅多に見せない優しい笑顔で笑った。
「…──行こっか。」
「うん…」
朝岡さんとマリアと手を繋ぎ、あたしは三人で雪道を歩き出した。
「寒いわ~…
何で純ってば今日に限って車じゃないの?」
「……あのね、あんな精神状態でこんな雪道運転して来たら、俺確実に辿り着けてない自信あるからね。」
「あははっ」
────サクサク…
足跡が大中小三つ刻まれていく雪道で、強く、強く思った。
あたしはきっとこれからも迷ったり泣いたりするだろう。
また、絶対に前が見えなくなる日もあるだろう。
けれどそのたび支えてくれる人がいるのなら、何度だって立ち上がろう。
もしもいつも支えてくれる人が立ち止まっている時は、こんな風に。
そっと手を差し伸べられるような人になろう。
いつか、あたしがこうやって泣いていたこの日のように。
今度は、あたしがあなた達の支えになれるように。



