吐き気を押さえながらの尿検査や血液検査。
「次は診察になります。
お名前が呼ばれるまでしばらくお待ち下さい。」
「…はい…」
全ての細かい検査をやり終え、フラフラになりながら再びソファーに腰掛ける。
「…彩…顔色悪いよ…
大丈夫…?」
「…ん…だいじょぶ…」
精一杯の笑顔で笑うも、あたしの笑顔はまるで萎れていたんだろう。
「…」
マリアまでうつ向いて泣きそうになってるから、あたしは言葉を飲み込んだ。
何度笑っても、
何度大丈夫って言っても、きっと今のあたしには何の説得力もないから…。
───…しばらく黙り込んだまま待つこと数分。
────…ヴー……
「……あ、メール…」
朝岡さんかな…?
少し緊張がほぐれ、バッグからケータイを取り出すあたし。
「…純から?」
「っぽい…」
─────…カチッ
【新着メール】
'*/05 09:38
From:朝岡さん
Re;
───────────
おはよ。
一緒に付いていってあげれんくてごめん。
根拠もないけど、大丈夫やって祈ってる。
でも俺はどんな結果になっても受け止めるよ。
大丈夫。
待ってる。
-END-
「…彩?」
「…」
ふいに涙が零れた。
“大丈夫”
そばにいなくても、今隣でそう言ってくれた錯覚さえ覚える。
この人はいつもそう。
あたしが欲しい言葉を、
ふっと何気なしに優しく降らせてくれる人。
────…大丈夫。
大丈夫だよ。
あなたがいるなら大丈夫。
たとえどんな結果を知らされても、あたしは受け止める。
「───…桜井さ~ん。
中へどうぞ。」
「あ…、はい。」
バッグを持ち、スッと立ち上がる。
「…彩…」
「───行ってくる。
あたし、大丈夫だよ。」
────…ニコッ。
マリアは何かがふっきれた様なあたしの笑顔を見ると
「───…うん。
ここで待ってるね。」
頷いたマリアに手を振り、あたしは診察室の扉を開けた。



