───……診療後。
時計は8時を指し、カルテ入力や、掃除、片付けからやっと解放され、やれやれと一息付いていた。
「彩ちゃんお疲れ様。
疲れたでしょう?」
「あっいえ!!!!大丈夫です!!何かそれより、あたしの方が失敗ばっかりですみません……。」
陽子さんが淹れてくれたお茶を飲みながら、あたしは今日の失敗を思い出した。
「いやねぇ、彩ちゃんったら。
大丈夫よ。彩ちゃんならすぐ覚えられるわ。」
────…にこっ…。
陽子さんが不安を取り除くかのように微笑んでくれたけれど……。
根本的に歯科の知識が全くないもんだから、すごく難しい。
「……歯科って難しいですねぇ……。」
───…ポツリと出た本音に、陽子さんはくすくすと笑った。
「歯科の専門知識を彩ちゃんが知ってたら、私の方がビックリしちゃうけどな。」
「──でも~……。
……──あ!
ねぇ、陽子さんってどうして歯科衛生士目指したんですか?」
「え?私?」
「はい!」
コクンと頷いて、陽子さんを見つめる。
だって知りたい。
陽子さんがどんな理由でこの道を選んだのか……。
あたしも見習いたいし───…。
「……ん~、そうねぇ。
あたしも彩ちゃんみたいに歯医者でバイトしてて、そのまま何となく衛生士になってみようかって思ったの。」
「そうなんですか?」
「うん、それまでは、
“歯科助手”と“歯科衛生士”は一緒なんだって思ってた。
……でも違いを調べたりするうちに、段々歯科衛生士に興味持ったかなぁ……。」
「…………」
───“歯科助手”と“歯科衛生士”の違い?
………って……
何だろ……?



