「……ごめんね…約束守れなくて…
すぐに話せなくてごめんね───…っ…」
朝岡さんを悲しませてしまう事が嫌だった。
だけど、今は。
「───…いい…
彩が生きててくれただけでもういい───…っ」
今はこうやって一緒に泣いてくれるのが嬉しい。
あの時諦めなくて良かった。
信じて歩いて良かった。
自分から死ななくて良かった。
────ふわっ…
涙でぐちゃぐちゃのあたしの頬に、朝岡さんの大きな両手が触れる。
…そして
「───…生きててくれてありがとう…」
「…っ」
そう笑ってくれた朝岡さんの瞳からは、一筋の涙が零れていた。
「───ほんまは怖かった…
いきなり彩から連絡なくなって、音沙汰途絶えて…
やっぱり俺やったらあかんのかなって…」
「…ご…ごめ…なさ…」
謝るあたしに、朝岡さんは何も言わずに首を振り
「───…彩が死んでたら真実も何も分かれへんかった…
こうやって一緒に受け止めてあげる事も出来ひんかった……」
「…朝岡さんっ…」
「───俺は……
男やからさ…
彩の受けた傷とか痛さとか……
“100%全部理解しろ”って言われたら無理なんかもしれへん……」
「…」
「───…不器用やから大した言葉も、気の利いた言葉も、望んでる事も何一つ満足にしてやられへんかもしれへん……
それでも……いいか…?」
「…」
「───彩の……
支えになってもえぇか…?」
─────ポタッ…
泣きすぎて死ぬかと思った。
だって朝岡さんの方からそんな事聞かれるなんて思ってもいなかったから。
あたしから傍にいさせてって泣きつくのがオチだと思ってた。
だって今のあたしは普通に日常生活も送れない。
普通にしてた事一つ一つが満足に出来ない。
出歩けないし人混みにもいけない。
きっと恋人らしい事何一つしてあげられない。
「───あたし…
きっと朝岡さんを幸せにしてあげられないよ…っ…」
「…──何寝ぼけた事言うてんの?
俺は彩が生きててくれるだけで幸せなんよ。」



