「──…あ…の…」
「…うん?」
深く深呼吸をして、朝岡さんの瞳を見つめた。
真っ直ぐで揺るがない朝岡さんの瞳。
その瞳に映るあたしも、
真っ直ぐでありたい。
だから───…
「───い…
一緒に過ごそうって約束してた…
クリスマスの前の日…あったでしょ…?」
「…うん。」
「───あたし…あの日…
ちょっと買い物してて遅くなっちゃって…
それで──…
いっ…いきなり後ろから頭殴られちゃって
あたしワケ分かんなくてそのまま気失っちゃって…
起きたら知らない車の中で
しっ……知らない男の人がいっぱいいて
あ……あたし…
───あたしね……」
「…」
「レッ───…
レイプされちゃっ───…」
起こった辛い出来事を簡単に一言で表すなんて
伝える事は難しいね
でもねもしも
もしもちゃんと
━━━━━ギュッ…!
「──…~~~~~っ…~っ~~~っ~……」
こうやって
絶望の淵でも一緒に涙を流し
抱き締めてくれる人に出逢えたなら
「───…や…
────彩───っ……………っ………」
“絶望”が
乗り越えたい力に変わる
…───誰でもない、あなたの為に。
「───……さ…
━━━ごめんなさいっ──……────!」
ごめんね。
ごめんね。
ごめんね。
何度言っても言い足りない。
逃げててごめんね。
話せなくてごめんね。
何度謝れば許される?
「───…彩が…
彩が生きててくれて良かっ───……っ……」
…───だけど、そう。
今の朝岡さんの一言で。
森の中で凍え彷惶っていたあたしに光が差す。
傷が疼く夜に、やっと太陽が昇り始める。
あの日から止まってしまった時計の針がやっと動き始める。
…───あたしにも。
やっと、朝が訪れる。



