名前を呼ばれるだけで顔がぐしゃぐしゃになってしまうあたしは、やっぱり相当限界が来てたのかもしれない。
「…あ…さおかさん…っ……」
朝岡さんは突然あたしがいた事に驚きを隠せないのか
「………」
ジッとただあたしを見つめ、何も言わなかった。
───怒ってるんだ、と悟った。
そりゃそうだ。
約束してたクリスマスをドタキャンした挙げ句、その後連絡も無視してたんだから……。
怒って当然だよ…。
「…あの…、」
話し掛けようとしたけれど、何から話したらいいか分からず言葉に詰まる。
───…“ごめんね”
たったその一言が言えなくて。
「……」
「……」
お互い突っ立ったまま、数秒が経過した。
「───純~?
どうしたの、ドア開けたまま固まっちゃって~?」
その時、朝岡さんの背後からいっちゃんの不思議そうな声が聞こえてきて、あたしは更に固まってしまった。
どう……しよ……。
ここまで来たのに、思ったように行動に出来なくて。
────ボロボロッ…
思ったように出来ない自分がもどかしくて歯痒くて。
今度は悔し涙。
「───ねぇ純~?」
いっちゃんが朝岡さんに近づいたその時。
「……あ、あぁ…。
別に何も……ない……」
─────パタン…。
背を向けられ、目の前で扉を閉められた。
……え……
「もう~!!純ってば最近まぁ~た意識ブッ飛んじゃうんだからぁ!」
「はは、ごめんごめん…」
────……
…─────
「……」
まさかの拒絶。
────ズキ…ンッ…
隔たれた壁。
知らないフリ。
初めて拒否された事へのショック。
「……~~~っっ…」
遮断された扉が、今の朝岡さんが示すあたしへの距離の様な…
そんな感じがした。
いくら朝岡さんでも、優しく出来る事には限りがある。
分かっていたのに、甘えてた。
…───いつも。
だからこの仕打ちは当たり前だ。



