頑張ってるよ
頑張ってる
「……っ…これ…いじょう……ど……頑張ればいいの……っ───~~っ…」
「……彩…っ…」
まだ足りないの?
あとどれだけ頑張れば
“頑張ってる”
って認めてもらえるの?
「……う────…っ…」
分かんないよ
分かんない
目的地はどこ?
あたしは何を目指してる?
これからどうしたらいい?
頑張る事に終わりはないの?
「────…頑張ってるよ……」
「……っ…マリア…」
「────彩は頑張ってるよ……っ……!」
“だからもういいんだよ”
誰かにそう言って欲しくて
あたしはただがむしゃらに真っ暗な道を走ってた。
…───ねぇ、だけど。
走り続けている人間ほど、気付かない。
────…“限界”に。
元気を装う人ほど。
笑顔を振りまく人ほど。
実際はそれがフェイクな事が多い。
傷を隠すために強気になる。
周りに知られたくないが故に明るく振る舞う。
…───悲しみや痛みは計り知れないからね。
出来れば傷つきたくないのが人間だからね。
だから傷を隠して手遅れになる事が多いの。
「───…彩。
もういい。もういいから……
────…帰ろう…」
「────…ふっ…うっ……~~~っ…」
……ついにその日から。
あたしは学校へ行けなくなった。
今まで何があっても歯を食いしばって通い続けた登校。
「────…っ……」
膝から崩れ落ち、一歩も動けないあたしは───…
その様子からして、“負け”を表しているようだった。
───…そんなの違うって。
今のあたしなら、
この時のあたしに
“大丈夫だよ”
“負けてなんかないよ”
…───そう言って、手を差し伸べてあげられるのに。
何も見えなかった。
何も分からなくなったの。



