────ヴー…ヴー…
重く響くバイブ音を背景に、時間の針が止まる。
だって今日───…
今日は…
「…どう…しよう…
どうしようマリア…」
「え…?」
「───今日…っ…
クリスマスなのに……っ」
“クリスマス。
一緒に過ごそうな。”
“約束♪”
────ヴーヴー…
「……彩……
どう…する……?」
「……」
─────ヴーヴー…
いつしか着信音が心臓を圧迫し、あたしの背中には冷や汗が一気に走っていく。
「……ゃ…」
「彩?」
「────…ゃ…」
呟くようにそう言うのが精一杯で。
「……む…無理…
無理────…」
あたしはそれ以上何も言えず、首を横に振った。
「…うん…」
────…カチッ…
マリアも画面から目を逸らし、まだ鳴り続けるケータイを静かに閉じる。
─────……
その思いが届いたのか着信は鳴り止み、二人の間にはまた重い沈黙が流れた。
「…」
「……彩…あの──…」
「……かな…」
「え?」
「……どうしてかな…
あたしホントついてないよね……」
「そんな…」
「───あたし。
別にさぁ…そんな欲張ってなんかないんだよ…。
お金持ちになりたいとか、地位とか名誉とか全くそんな人生望んでないしさぁ……」
「…」
「───ただ……
ただ普通に生きたいだけなのに…」
「…彩」
「……友達と休み時間にくだらない話とか恋バナとかしたりさぁ。
“勉強やだなー”とかボヤきながらも夢の為に頑張ったりさぁ……
…そんなのも…
我慢…
いっぱいしたのに…」
どうして
「……して…
どうしていつも朝岡さんを幸せにしてあげられないの──…っ!?」
どうしてまた悲しませてしまうの?



