「────……」
胸の内を話してくれたマリアの言葉が、生気を失った瞳に光を灯らせた。
───…親…友……?
マリアはそんな風にあたしを思ってくれていたの?
「……あたし…
彩に出逢うまでは同性の存在なんかいらないって思ってた。
女って……
執念深くて複雑でまどろっこしくてややこしくて……
自分も女だけど、そういうのうんざりだった。」
「……」
「ヒラヒラでフリっフリな服着て、いかに自分を可愛く見せるかとかさ。
……正直彩なんか絶対仲良くなれないタイプなんだよね。」
「……マリア…」
「……でも……
どうしてかな…。
彩は…
同じ女なのに、女らしい甘い服着てるのにいちいちめんどくさくなくて…
女女してるのかなって思ったら全然で…
何か掴みどころなくてサッパリしてて…
あたしに持ってないモノ、いっぱい持ってた。」
マリアに持ってない…
あたしだけが持ってるもの…?
「……彩と一緒にいて楽しいの…
同じ女でも、外見だけじゃない……ちゃんと中身も見なきゃって事教えてくれた……
“女だから”って逃げてたあたしに、彩は近付いてその壁を取っ払ってくれたの……っ…」
─────…
「───あたし…
彩に生きてて欲しい……」
─────ポタッ
「…死なないで…」
────…思い出していた。
いいように弄ばれ、真冬の森に捨てられながらも必死に彷惶っていた事を。
あれは何の為に歩いてた?
死にかけて寒さに震えながらも向かっていた先はどこだった?
生きたいからじゃなかったの?
────…ギュッ…
震えるあたしを小さく抱き締めたマリアの肩も震えてた。
「……っ、」
涙が渦巻いて前がよく見えない。
忘れてた。
忘れてたよ。
あたしあの時歩きながら死にたくないって思ったはずだった。
だからあたし今ここにいるんだ。
生きてるんだ───…
「……マリ…ア…」
気付かせてくれたのはあなただった。
ただ生きてるっていう偶然が奇跡だって事。



