もう生きてる意味が分からない。
生き続ける意味が分からない。
だからって生きる意味の答えを教えて欲しくもない。
「────……」
光を失くし、淀んだ瞳が捉えたのは
─────…ガラッ…
ベランダだった。
────…ペタペタ…
凍てつくような真冬の早朝の風にも動じず、裸足でベランダの手すりに近付く。
────ビュウッ…
ここは7階。
ここから飛び降りれば即死する?
変に打ち所良くて助かったりしない?
……大丈夫。
大丈夫だよ。
一瞬だけ。
痛いのは一瞬だけだよ。
それさえ我慢したら、あたし楽になれる。
─────…カタッ…
冷たい手すりに手を掛ける。
下を見下ろし、歩いている人の小ささに涙した。
豆粒みたいな小ささにも、確かに平等に命は与えられているのに…
どうしてこうも幸せは平等に分け与えられない?
あたしも幸せになりたかった。
「────…サヨナラ…」
あたしは幸せになれなかったから、幸せは分け与えられない。
でももし命を分け与えられるならね、本当に苦しんでる人の為に命をあげたい。
───…でも出来ない。
幸せも命も、目に見えないものだから。
─────…スッ…
目を閉じ、深く深呼吸した後。
━━━━━ガチャ!
「────彩!」
突如背後の扉が開き、名前を叫ばれ振り向く。
そこに立っていたのは…
「……マリア…?」
「……な…に……やってんの……」
「……」
「───何やってんのよ!」
━━━━━グイッ!
悲鳴に近い声を上げ、マリアはものすごい力であたしの腕を引き寄せた。
━━━━━…ドスンッ…
「……っ、」
部屋に鈍い音が響き、あたしとマリアは床に投げ出された。
でも…
どうしてかな。
床に放り投げられても、あたしはちっとも痛くない。
「────……っ」
だって
マリアが抱き締めてくれていたから。



