「……マリア…」
チカチカと点滅するバイクのライト。
さっきの光は……
これだったのかな……?
「────彩!
しっかりして!!!!」
血相変えてあたしに近づくマリアは軽く息切れしていた。
きっとすごい心配掛けたんだろうなって思いながらも……
───すごい安心した。
あたし、助かったんだと。
ここからは、あたしの記憶からはもちろん、日記にも綴られてはいない。
だからこれはマリアから聞いた話。
あたしが捨てられた××山っていうのは、一時間以上離れた場所に位置していたって事。
マリアは───…
あたしの姿を見て、一瞬で何があったか分かったって。
そりゃそうだよね、あんな寒い真冬に裸の上からジャケット一枚羽織ってるだけなんだもん。
だからすごい戸惑ったって。
自分のアウター羽織らせて、バイクの後ろにあたしを乗っけて帰ったけど、
あたしはいきなり笑い出したと思ったら、泣き出したり、叫んだり……って。
“精神状態が尋常じゃなかった”
って、マリアは今でもそう言う。
それがクスリの影響なのか、精神崩壊してたのか
あるいはどっちもなのか。
それは今でもあたしには分からない。
だって思い出そうとしても、今のあたしには何にも思い出せないからね。
「………───…」
────……次に目が覚めたのはマリアの家。
「……彩…大丈夫…?」
心配し過ぎて泣きそうなマリアが発した一言で、現実を実感する。
───あぁ、やっぱり夢じゃなかったんだって。
「……おぇっ……」
「───彩!」
反射的に胃から逆流するのを必死で押さえる。
口元に手を当て、ボロボロ涙を流すあたしの背中を
「……吐いていいからね、大丈夫大丈夫……」
そう言って、マリアは背中をさすってくれた。
「……っ……」
その優しさに涙が止まらず、あたしはずっと泣いていた。
“ありがとう”
“ごめんね”
そう言いたいのに、喉が詰まって言えなかった。
───…マリア。
あの時はごめんね…。



