「…雑誌の話がそんなに嫌だったのか?
だったら今回雑誌の件は取り消そう。
だから店を辞めるのは待て。それでいいな?」
「…店長、ちが…っ」
そういうことじゃない…!
そういうんじゃなくて…っ!!
「さぁもう開店時間だ。
今日も精一杯頑張ってくれ。」
「───店長!」
さっさと話を切り上げドアを開けようとする店長にあたしは
「───たとえ雑誌の件を取り消そうと取り消さないであろうと、あたしが辞める意志に変わりありません!
このまま丸め込まれてキャバ嬢を続けたとしても、あたしがいずれ辞めるのは目に見えてます!!」
全力で店長の背中に叫べば
────ピタッ…
店長はあたしの言葉に反応し、ドアに掛ける手の動きを止めた。
……そう……
あたしが辞めるのは時間の問題なの。
もう……
もうこれ以上あたしが目指す道に負担はかけられない。
───あたしが進む道はあっちだから。
「……店長……
お願いします。
あたしこのままじゃダメなんです。
辞めさせて下さい……」
──────……
かなり重い重圧と沈黙の中、あたしは深々と店長の背中にお辞儀をした。
すると
「……本当に……
お前はそれでいいんだな…?」
店長は振り向きもせず、今にも消えそうな声であたしに問い掛けた。
「…はい…」
「君はこれからこの世界で輝く未来が待っていると言うのに、何故だ?
何故自ら何の変哲もない道へと進む?」
「…実のところ…
あたしも自分でよく分かりません。
でも一つ言えるのは…」
「……?」
そう、あたしが進みたい道には少なからず
「───…夢があるからです。」
今ここにいる場所は本当にあたしが闘うべき場所じゃない。
あたしがずっと感じていた違和感はこれだったんだ。
そもそも闘うフィールドが違うから。
目指すのは
そこに向かう理由がある場所
辿り着きたい目標がある場所
掴みたいのは
“ゆずれない夢”



