“聖なる夜は恋人と甘い一夜を過ごす♪”
…って雑誌のタイトル見ては肩をガックリ落としちゃう。
あたしだって!!!!
あたしだって甘いクリスマス過ごしたいよ!
特別な日だもん特別な一日にしたいよ!!!!
……なのに
「何なのよ~~!!
このスケジュールは~~~!!!!」
筆記テストはもちろん、
そこに実技テストが加わり、さらに課題&レポートのダブル攻撃。
プラス……
キャバ嬢・愛美としての仕事、ノルマ達成、営業、ナンバー2の地位の維持…
「……あぁ~っ!!!!!
泣きたいよ~!!!!もう!!」
やることいっぱい過ぎて、どれから手を付けたらいいか分からなくなる。
───いや。
それより……
「───朝岡さん…」
朝岡さんも朝岡さんで、ここんとこテストに課題にバイトにバンドに忙しそう。
そんな二人にゆっくりのんびりデートしましょう、なんて暇すらなく……。
───当然、あたし達の関係はキス以上エッチ未満で止まったまま。
お互いテスト期間で電話もメールも控えてるのも痛いけど……。
何よりあたしが深夜までキャバ嬢の仕事してるもんだから、なかなか会えずじまいのすれ違い生活が続いていた。
このままじゃ、想いが通じ合って初めて二人で過ごすクリスマスさえも危うい。
「……朝岡さんって…
ムードとか雰囲気大切にしてくれる人なのかなぁ…」
今まで一切手を出さなかった朝岡さんが、想いが通じ合った瞬間にスイッチ入ったのは知ってる。
でもいっこうに最後までは手を出して来ない。
……って事は、
“やっぱり初めてはクリスマスに…”
とか思ってくれてるタイプなのかなぁ……
………………
─────ボンッ!
悶々と考えておきながら、自分がかなりきわどい妄想をしている事に気付き、顔から火が噴き出した。
あ、あたしってば何考えてるんだ……。
まだ“クリスマス一緒に過ごそう”とも言われてないのに……。
そうそう、誘われてもないのに焦っちゃダメダメ。
……………
……って、ん?
「あれ?」
誘われてない………?



