DEAR 2nd 〜Life〜







慌てて屈み込み、床に散らばる私物を拾うあたしの背中には







────クスクス…






この行動のどこに笑う要素があるのか分からないけれと。





さぞあたしの行動が可笑しいのか、滑稽なのか。





はたまた自分が優位に立った充足感からなのか。






どこまで利己的なんだろ。






重い溜め息も程々に、最後の落とし物に手を伸ばした時だった。







「何これぇ~~!?ダッサ!」






─────バッ!






マキがあたしより先に手を伸ばし、“それ”をつまみ上げたのは。








───シフォンケーキ…







「マジ何これ?失敗作?」






プラプラと宙に揺らし、

まるで汚物でも持つかのように親指と人差し指で摘まみ、ジロジロと中身を見つめるマキ。








「自分一人で食べるからってラッピングで気分上げてるつもりぃ?



超寂しー人間だよねー!!」






アハハと甲高く笑い、

クラスメートまでを笑いに巻き込むマキに、







────カァァッ…!







辱しめと恥ずかしさで、あたしの頭にカッと血が昇る。







───寂しいのはどっちよ。





そんな風にしか連想出来ないあんた達の方が、よっぽど寂しい人間よ。






ギュッと唇を噛み締め、

爪が食い込むほど拳を強く握り───…









「────返して。」






あたしは目に怒りの炎を燃やしながら、静かに片手を差し出した。






マキはあたしの気迫に怯まないよう、一瞬ジロリと睨み付け







「───いいわよ。




………拾えば?」







─────ポトッ!






マキは自分のブーツの真横にシフォンケーキを落とした。






「──…っ」






“落とされた”事ももちろん信じ難かったけど







「……ほら、早く拾いなさいよ。」







「────…」








“マキに跪くような形”で拾わされる屈辱が、人として本当に信じられなかった。






ここまでして弱者を追い詰めたいか?





ここまでして自分が一番強いと印象付けたいか?





“マキ”という人間の本質を見抜けずにいた、かつての自分さえも。






───…今となっては、

何だか恥ずかしくなってくる。






「………」






あたしは頭を真っ白にして、なるべく無表情でマキに屈んだ。