弓道って袴とか弓道衣着たりするんだよね、やっぱ。
朝岡さんもマリアも和服似合いそうだなぁ…。
どっちが強かったんだろ。
これは是非個人的に見てみたい試合だぁ…。
ってか!!
そりゃ腕の筋肉あるはずだ、うん。
一人で超納得していると
─────ふわっ…
「えっ!?」
身体が宙に浮いていた。
───…じゃなくて、正確には。
「───彩一人持ち上げるくらい全然余裕。」
あたしの横腹に手を添え、グッと持ち上げる朝岡さんが目下に見える。
俗に言う、“高い高い”状態だ。
「わ、わっ…」
身長が低いあたしにとって朝岡さんよりずっと高い位置で見る景色は、こうでもしてもらわないと普段絶対に有り得ない。
「あっ、朝岡さん!!
あたし絶対重いよ!!!!」
一番気になるとこを口走れば、朝岡さんはニッコリ笑い
「ははっ。まっだまだ大丈夫やろ。
俺がこうやって抱き上げられへんようになったら考えるけど、ね♪」
───朝岡さんはやっぱり“男”だ。
あたしを難なく持ち上げ、余裕綽々で笑顔を振りまくんだから。
「……彩」
「なに?」
「そっから何が見える?」
「…えー、っと…」
あたしは日頃あまり見慣れていない位置から景色を見渡した。
「キラキラ光ってる川が見えるよ。
あと、すっごく綺麗な空…」
ずっと先まで見渡せる川面、いつもより少し近づいた空。
あたしが見上げながらそう言うと
「そっか。
───じゃあこれは?」
「え、───きゃぁっ!!」
─────パッ!
いきなり支えていた手を離され、もちろんあたしは引力に引かれて落ちる。
「やっ…!!!!」
─────ギュッ!!!!!
落下の恐怖で目を閉じてはいるものの、朝岡さんの首筋に両手を絡めて必死で掴まった。
━━━━━ガシッ!
それに応えるかのように、朝岡さんは再びあたしをキャッチし…
「────今は?」
「…え…?」
「今は何が見える?」
今にも顔と顔が触れそうな距離。
朝岡さんは分かりきっている答えを求めて来た。



