プイッと踵を返して歩くものの
「…、」
やっぱり見てないフリして横目でチラチラ見てしまう。
……朝岡さんって。
“マッチョ”とか、そんな“ガッツリ筋肉質!”って部類じゃなくて。
───…単純に、身体の線が綺麗だ。
細すぎない身体、無駄に付いてない肉付きとか、程よい筋肉に加えて──…
「───…手。
繋ぎたいんやけど?」
───差し出されたその手さえも。
あたしの手を、いとも簡単に包み込んでしまう包容力がある。
「───…彩、手ぇ小っちゃいよな~?
俺これやったら握り潰しちゃいそう。」
「やだー!やめてー!!」
……何で今まで気付かなかったのかよく分かんないけど。
朝岡さんの腕も、手も、
胸板も。
身体の線、スタイル共に
完全にあたしのドストライクだ。
「───朝岡さんはスポーツって何してた?」
だからすぐこんな質問も飛んじゃう。
「……んー、サッカーと野球はしてたよ。
あとバスケも好きやし♪」
「…へぇー!!」
脳内でスポーツしてる朝岡さんの妄想に、ニヤニヤを必死に隠すけど
「───あ、でも。
一番ハマったのは弓道。」
─────え!
「き、弓道ぉ!?!?」
「そ。意外やろ♪」
脳内メーターが振り切れた瞬間だった。
妄想の域を遥かに越え、
可能ならば鼻血出しましょうか、とか思ったくらい。
「意外!ホントに意外だよ朝岡さん!!」
「……やろ♪
でも弓道するようになったキッカケはマリアやねんけどな。」
「…え?マリア?」
「……うん。
元々はアイツが中学ん時から弓道やっててさ。
面白そうやったから、俺も便乗してやり始めたのがキッカケ。」
「…へぇぇぇぇ~…!
マリアが!!!!」
ついつい二人が弓道やってる脳内イメージを描いては大興奮。
二人の無機質感がよく弓道に似合ってるし…
紅の皆って、聞けば聞くほどホント味があって面白い。
「……でも久しぶりにやりたいなぁ、弓道。
マリアと久々に対決したいかも。」
「えー!!!!見たい見たい!二人の対決、超見たい!」
あたしは思わず声が上がった。



