DEAR 2nd 〜Life〜



「……朝岡さん、あたしそろそろ学校行くね…」






「………」






そう伝えるなり、不安と寂しさに顔を変える朝岡さん。







……ずるいなぁ。





頑張るって決めたのに、

そんな顔されたらあたしまで寂しくなっちゃうよ。







「……大丈夫なん…?」






あたしを見つめる朝岡さんの目が、“心配でたまらない”と物語ってくる。







「……大丈夫……

本当に大丈夫だから…」






「……手……





……震えてる………」









────…ギュッ…






カタカタと小刻みに震える手の動きを止めようと、強く包み込んでくれる大きな手。





その温もりと、優しさと思いやりに──…。





伝わってくる想いがあまりにも温かくて、じんわりと心が緩んだ。








「……せめて学校まで送らせて」





「えっ!?いやいい!!いいよ朝岡さん!」






車のkeyを取ろうと起き上がる朝岡さんを、あたしは慌てて止める。






「…だって」




「大丈夫、本当に大丈夫だから…!



あたし一人で学校くらい行けるから。



ずっと今までも行ってたんだし大丈夫。




だからお願い、朝岡さんが無理なんてしないで…」









いじめられてるからって同情なんかいらない。




“可哀想ね”なんて哀れまれる事なんか最大の屈辱。





特別扱いもいらないし、

気遣いもいらない。






あたしは、ただあたしらしく自然体でいたいだけ。





あたしとあなたの関係も、お互い無理せずありのままで在りたいの。








───いじめなんかに干渉されないように。









「……あたし、朝岡さんやみんなの笑顔があるから昨日よりもっともっと頑張れる。




嘘じゃないし強がってなんかない。」







「───…彩…」







扱いに困って欲しくない。







辛い時もきっとあるよ。




泣きたい時だって絶対ある。





耐えきれない現実に背を向けたい日だって必ずあるよ。






───だからそんな時は








“辛い”って言ってもいい?




我慢しないで泣いてもいい?





たとえ背を向けて逃げたとしても、逃げる場所はあなたの元だと決めてもいい?






そう言える自分で在りたい。






だってそれが









“素直になる”って事でしょう?