「…何て言うかな。
あいつって元々明るいし、よく笑うんだけど…
“純粋に笑ってる”って言うのかな?
あんなに楽しそうに笑ってるのは、俺も初めて見たよ」
「…そ、そう…」
───…なんてスルーしたフリしたけれど、本当は。
嬉しくてくすぐったかったよ。
だって長年連れ添ってた人にそう解析されたら、すごい説得力あるじゃない?
そう言われて嬉しくないはずがないじゃない…。
「……あいつは、ホント俺からも胸張って“信じて”って言えるヤツだから。
だから────…」
“二人で幸せになって”
あの時ゴローちゃんに言われた言葉が、いい意味で重かったよね。
───…思えば、そう。
あなたの元へ向かう事、
あなたに全てを打ち明ける事、あなたに想いを伝える事。
どれも、ほんの少しの勇気だった。
もし、今日の新しい朝。
決意と勇気を捨ててしまえば、今この瞬間は掴めなかった。
きっと今も心の時計は止まったままで、
いつまでも変わらない灰色の景色の中に、まだあたしはいるんだろう。
運命を変えるのは、結局は自分自身だったのかな?
ほんの少しの勇気と自信を持って素直になれば、何かが変わるのかな。
勇気って、人生のスパイスになる。
「───…ゴローちゃん…ありがと……本当にありがと…」
「いいえ、ただの力が込もった激励です♪」
そしてこうやって笑顔が咲く。
確かにあなたを傷つけた過去は変わらない。
でも、その傷つけた過去があるからこれからの未来をもっと大事に出来るって信じてる。
傷は人を強くも優しくもするって
……あたしはもう体験して嫌って言うほど分かったの。
「───…彩……」
愛しい人が目を覚まし、
目をこすりながらあたしを見てはにかんだ。
「……朝岡さん、よく眠れた…?」
「───…うん…
起きたら彩がいたから…
夢じゃないんやって実感した…」
安心したように笑う、そのあどけない笑顔をね。
あたし
一生守って生きたいと
思ったの。



