「───…あいつね。
彩ちゃんと出逢うまでは、マジで恋愛に疎いヤツだったんだよ。」
「……え?そうなの?」
「うん。純から聞いたことない?」
「───なっ、ない!!!!」
あたしはゴローちゃんに素早く食い付いた。
……だって。
だって朝岡さんってば、
自分が過去にした恋愛とか全く話してくれないんだもん。
聞いたらヤキモチ妬いちゃうかもだけど、ほんの少し興味はあった。
「……そっか♪
まぁ話そうにも、まずアイツがまともな恋愛なんかしてないから余計かな?」
くすくすとゴローちゃんは笑うけど、あたしは“不安”っていう文字がモロに顔に出てたと思う。
「……ま、まともな恋愛してないって…?」
恐々聞くあたしにゴローちゃんはふっと笑い
「───…ん~…
まぁまずはあいつが極度に女が嫌いってとこでアウトなんだけど。
……それにプラス、呆れるくらいの音楽バカ。」
「…えー!?!?女嫌い!?」
「───うん。
おまけにあのルックスだろ。
毎日嫌いな女が寄ってくるから、余計に女嫌いに拍車が掛かっちゃって。
……だからね、まぁ見事に恋愛には興味の“き”の字も示さなかった。」
「……へぇ~…」
い、意外。
朝岡さんが女嫌い…
「……まぁそれでもノリいいし、人間関係は穏便にこなすから女友達は沢山いたけどね。
でも恋愛対象となると全っっ然ダメ。」
「…そう…なの?」
「……あー……
まぁ女嫌い直そうと無茶苦茶な事してた時期はあったけどね。
……あれは俺が見てても痛々しかったくらい。」
……む。
そんなことあったんだ。
ちょっとヤキモチ…。
「……チカちゃんと成り行きで付き合うようになってからは、身体的にも精神的にも酷かったかも。」
「……」
───…チカ…さん…。
あたしも……
まだ忘れられない人…。
「───…だからね、
純が彩ちゃんと出逢ってから、本当ビックリするくらい変わったんだよ。
あいつ。」
「…え…」
────あたし……と?
「見違えるくらい…
よく笑うようになった…」



