─────……
………────
数時間後……。
熱が下がりそのまま眠ってしまった朝岡さんに微笑み、
────…カラカラ…
あたしは朝岡さんを起こさないように、そっとベランダに出た。
────…ヒュウッ…
ちょっとだけ肌寒いけど、火照った顔にはちょうどいい風。
ベランダから見える景色にボーッとしていると
「───…彩ちゃん。」
カラカラとガラス戸を開け、ゴローちゃんがあたしの隣に来た。
「…ゴローちゃん…」
「……ごめんね、邪魔しちゃって。壱もマリアももう行ったし、俺ももう行くから。
後は二人でゆっくりしてね。」
「……あ、ううん。
あたしもそろそろ行かないと……今日3限から学校で。」
そう笑うあたしに、ゴローちゃんは少しだけ表情を曇らせた。
「……そっか…。
彩ちゃん、あんまり無理し過ぎないようにね?本当に…」
「あはは、大丈夫♪
あたしね、今何でも出来ちゃうくらいだから♪
無理なんかしてないの、本当♪」
「…彩ちゃん…」
「…あたしね、ずっと今まで一人ぼっちだと思ってた……。
一人で何でもこなさなきゃって、誰にも頼れないって、何か一人で気負いして抱え込み過ぎてた。」
「……」
「……でも、うん。
みんながこんなあたしを受け入れて、支えてくれて、救われたの。
“一人じゃないんだから絶対負けないぞ!!”って。
もうほんっっっとーに!!!!感謝してもしきれないくらい…」
「……うん…」
「それにあたし……
本当に朝岡さんの事……
す、好き……になっちゃって……
あの、だから……」
「───…彩ちゃん」
「は、はい!?」
「───純を……
純を好きになってくれてありがとう…」
「…え…」
まさかお礼を言われるなんて思っていなくて。
あたしは驚き、ゴローちゃんを見つめ返した。
「…なんつーかね…。
長年あいつと親友やって来て、本当に今まで経験したことない出来事だからさ…
嬉しいって言葉なんかじゃ足りないな…。」
……ゴローちゃんは。
しみじみと、何かを噛み締めるかのように口を開いた。



