「……はい、彩ちゃん。
ちょっとは落ち着くよ。」
一通り話し終え、相変わらず鼻を啜るあたしに、ゴローちゃんは湯気が上がるマグカップを手渡してくれた。
「…ありがと…」
ふわふわ甘い香りが上がるホットココアに、自然と笑顔が零れる
────…が。
「───ねぇっ!!!!
純とアヤヤはどれくらいの深~い関係になっちゃったのーっ?♪」
━━━━━ブッ!
「ギャァァっ!!!!アヤヤ思っきりかかってるー!!!!キャーー!!!!」
「…彩ナイス噴射。」
「あらー盛大なリアクション♪」
「ちょっと純!!マリア!
タオル渡してくれるくらいの優しさの欠片もないのぉ!?!?」
「「ない。」」
けらけら笑う朝岡さんとマリアに、キャーキャー叫ぶいっちゃん。
「…ゲホッゲホッ!ご、ごめ……──ゲホッゲホッ!」
「彩ちゃん大丈夫?」
「……──ゲホッゲホッ!!」
背中をさすってくれるゴローちゃんに、咳をしながら頷くも説得力ゼロ。
…も、申し訳ない…。
「……でも、この感じだとだいぶ関係進んだみたいね。
───勢いでCまで行っちゃった?♪」
「───!?!?」
「残念ながらお前らがいいとこで邪魔しに来たからそこまでは…」
「──ちょっ…!!」
「じゃあじゃあA止まり!?」
「…C寄りのBか?」
「Bに限りなく近いA?」
「…つかお前ら、AとかBとか若干言い方古ないか?」
「…それもそうね。じゃあハッキリどうぞ。」
「ぎゃぁぁあ!!!!もうやめてー!!!!」
三人の憶測を遮り、一人ワタワタ焦るあたし。
そんなあたしを見てくすくす笑い、
「───…まぁ…うん。
そういう事。」
朝岡さんはあたしの腰に手を回し、自分の元へと引き寄せた。
「キャー!!!ついにこの日が!おめでとう~っ♪」
「良かったね…純…」
「長い間叶えたかった夢だもんな。」
朝岡さんは目を細め
「……せやな……
長過ぎて、もう絶対に叶えへんって諦めてた夢やったな……」
夢じゃないと確かめるかのように
紅潮するあたしの頬を親指で優しくなぞった。



