「…~~っ開かない…」
閉じ込められた部屋の中、あたしの声はポツリと小さく反響した。
何でこんな時にこんな事になるの…
こんな事されるのは日常茶飯事になってたけど、せめて今日くらいは見逃して欲しかった…。
────チッチッ…
けれども、時計の針はあたしの気持ちを無視して、無常に時を進めていく。
「…っ間に合わない…」
あたしが乗りたかった電車の時間も、もうどれだけダッシュしても間に合わない。
「───…~~っ
誰かいないの!?!?」
────ドンドン!
──────……
──────……
「………」
────ペタン…
「───…さい…あく…」
────…クシャッ
今日あなたと唯一繋がっているチケットを握りしめ、床に座り込んでしまった。
「──今日じゃなきゃ……今日じゃなきゃ意味ないのに…」
あなたの声を聞くだけでよかった。
それだけで、また明日からも頑張れるような気がした。
朝岡さんの精一杯の気持ちに答えたかった。
───…また踏みにじる事になるなんて。
「…いやだ…」
もう嫌だよ。
あんな思いするの絶対嫌…
「───絶対…
絶対ライブ行くんだから──…っ」
────ガラッ!
────ヒュウウ……
あたしは窓を開け、外の風を仰いだ。
「…まともに飛び降りたら骨折りそうな高さだな…」
───そう、ここは二階。
多分、まともに飛び降りて下手に頭でも打ったら死ぬかもしんない。
でも
「…あの木まで飛んだら大丈夫かな…」
あたしは近くに生い茂る一本の太い木をジッと見据えた。
───ねぇ
あなたの背中を見送ったあの日から、ずっと後悔していた。
───…半年間も、ずっと。
もうイヤだよ。
裏切って後悔して、ここでうずくまって泣いてるより全然マシ。
それより、あなたがくれた希望の切符を無駄にしてしまう方が嫌だった。
あたしにはあなたに会いに行く“切符”がある。
あなたに会いに行く“権利”もある。
だからあたしは動く。
───ただそれだけの事。



