「───…なぁに~?
そんなおっかない顔して」
腕組みして立っているマキの両サイドには、ミユとエリカの姿。
───…しまった…
何でよりによってこんな時に…
「───見たよ~?
この前あんたが援交してるの~。」
「あんたどこまで男に飢えてんの?この女狐!」
━━━━━バキッ!
「っ!」
横たわった体に入る蹴りの衝撃に小さく呻きを上げるあたし。
───“援交”、“女狐”。
こいつらは多分……
あたしに男が絡むと、ひねくれた感情を剥き出しにしてくるようだ。
でも今日は何言われてもいい。
────…時間がない。
今あんた達と遊んでるヒマはない。
今のあたしには一分一秒が貴重なの。
つまらない妬みに付き合ってるヒマはないの。
───お願いだから早く立ち去ってよ……
「───何よその目は?」
「………」
「───っ
イラつくんだよ!!その目が!」
━━━━━━バッ!
「────…きゃっ…!」
━━━━━ドンッ!
━━━━━バタン!
「……ッ」
体を持ち上げられ、押し込まれたのは薄暗い準備室。
「──ちょっとっ…!」
悪ふざけもいい加減にしなさいよっ──…!
暗くて狭い室内から慌てて出ようとドアノブに手を掛けると
─────カチッ。
────…え……?
ま…さか…
鍵かかった…?
「───ウソつき女狐捕獲~♪」
────クスクス…
「────!
ちょっと!!いい加減にしてよ!早くここから出して!!」
「はぁー?誰が出すのよ、このウソつきが!」
「───だからっ…」
「男ばっかり誘惑する悪い女狐は一生そこにいればぁ?いい反省でしょ。
行こっ♪ミユ、エリカ♪」
「───ちょっ…」
────アハハ…
廊下に響く甲高い笑い声がへばりつく。
「……っ」
何なの───…
どこまで自分勝手な妬みをぶつければ気が済むの───…?
こんな事を平気でするマキ達に
「……人間腐ってる……」
───同じ人間に
初めて言い知れない怒りを覚えた。



