─────…翌々日。
“あなたに会いに行く”と決めたT大学園祭当日。
「───あ~もうっ!
何でこんな時に自分の学校行かなきゃいけないの~…!」
超急いでるのにっ!
────カツカツ!
サングラスにクラッシュデニム、高いヒールという姫系の“彩”の時とは明らかに違う“愛美スタイル”。
キャバ嬢愛美になってから、あたしは服のセンスまですっかり変化。
──…俗に言う、お姉系。
“愛美”になってから、昔着ていた服はほとんど着なくなった。
着れば“彩”を連想させるし、それに何より昔の自分に戻るような気さえしたから。
「───急げっ急げっ!」
……そんなあたしは半ば涙目でレポートを提出しに自分の大学へと走っていた。
この日は運悪くT大学園祭とレポート提出日が重なってしまい……
あたしはただレポート提出するが為だけに、必死で大学へと急いでいた。
────パタン!
「失礼しまーす!」
「───あらさすがね。
あなたが一番乗りよ。」
「それはよかったです。
急いだ甲斐ありました。」
────ニコッ。
先生に笑顔で微笑まれ、あたしも作り笑いを繕って先生にしっかりレポートを手渡す。
───それはレポートを隠された時からの、確実な方法だった。
……もう絶対レポートを隠されたくなかったから。
「───えーっと…
今から27分の電車乗ればギリギリ間に合うか…。」
研究室を出て、時計を見ながら頭の中でタイムスケジュールを組む。
華恋ちゃん情報だと、紅は人気バンドゆえトップバッターの可能性大らしいし…。
「…急がないと…」
時計から顔を上げ、ますます急ごうと向き直った瞬間。
━━━━━━グイッ!
「───!?!?」
背後から急に強い力で引っ張られ、次の瞬間あたしは床に倒れていた。
「───………っ」
何が起こったかも全く理解出来ず、強打で痛む体を起こした瞬間
「───害虫引っ掛かーった♪」
────クスクス♪
「───!」
くるくると巻き毛に指を這わせ、満足そうに上から見下ろしているのは
「────…マキ…!」



