「───学園祭、明後日だけどどうすんの?行かないの?」
「………」
明後日───…
どう……しよう…
こんなの急すぎて、気持ちも体も何にも理解出来てないよ…
「───…あ、あたしはいいや……明後日って橘さんと同伴でしょ、確か…」
「───えぇーっ!!!!
まなちゃんも行こうよぉっ!
その同伴って萌も美月ちゃんも一緒の料亭でご飯済ませてからじゃん!
みんなスケジュール一緒だし問題ないよーっ!
ねっ、美月ちゃんっ!」
「───…んー、まぁね。夕方くらいまでしかいれないけど、早めに行ったら十分堪能出来るでしょ。
みんな揃ってた方が逆に料亭向かいやすいし。
……それよりあたし大学の学園祭なんか行ったことないから楽しみかも♪」
「萌もーっ!!!!♪」
「────……」
……しまった……。
あたし自分で墓穴掘ったかもしれない。
美月と萌が意気投合してキャッキャッしているのを見て、激しく自分の言った言動に後悔した。
「───じゃあー♪
明後日は王子様に出逢いにT大学園祭へレッツゴー!!だっ♪」
「決まり~♪
……って王子様目的はあんただけよ、萌。」
「やーん、でももしこんなカッコいい王子様いたらどうすんのよぉ~っ!」
─────………
「……あの……
あたし……
やっぱ行くのやめようかな…」
ポツリとそう口に出すと、美月と萌は俯くあたしを不思議そうに見つめた。
「……どしたの?」
「……ううん……ほら、あの……人混み苦手だし…」
───本当は……
あたし、朝岡さんに会うかもしれない現実が怖い。
“会える”って期待するのは簡単で
夢見るのは自由で許されるんだけど。
───それが現実味を増すたび、恐怖が比例する。
だってあたしは朝岡さんに合わせる顔がない。
最後に、あたしはどれだけ酷い嘘を重ねてあなたを突き放しただろうか。
どれだけ辛い思いをさせて傷つけただろうか。
……その傷の深さを考えただけで気が狂いそうだ。
───…あたしが…
もしあたしが朝岡さんの立場なら
───…もう二度と、あたしの顔なんか見たくない。



