DEAR 2nd 〜Life〜




────…驚愕の事実。






美月は最年少、最速という驚異的な早さで、何とこの“Heaven”のナンバーワンに君臨したのだと言う。






「…ってみんなは伝説みたいに言うけど~…




あたしだって簡単にここまで駆け上がったんじゃないんだからね。」





朝礼が終わり、次々と輪がバラけていく中、美月はあたしとホールを歩きながら話し始めた。






「───ヘルプから始まってー……



そっから指名取るために努力、勉強、営業、営業、また営業で血が滲むよ~~っっな努力だよ、マジ。」





「……い、いや。

だからどっからどう聞いても武勇伝だよ、それ。」





……つか、今の用語半分理解出来なかったけど。




大丈夫かなぁ…あたし…。





……なんて、また弱気になっていったその時。







「───あ、いたいた!



愛美ちゃ~ん!!研修するからこっち来てくれる?」





「───あっ、はい!」





伊達店長がまた手招きしてあたしを呼び





「研修頑張れーぃ♪」





「うん、行ってくる!」





美月に急いで手を振り、まだ開店していないホールに入っていく。







「───じゃあこっちに掛けてくれるかな。」





「はい、失礼します。」





───やはりHeavenは、

しっとりして落ち着いている。




無駄に明るくギラギラ照り付けない、優しくも穏やかな照明。





目が行き届かない細部にまでこだわっているホール内。





うるさくなく、麗しい女の子達の接客とキャストの気配り。





……こんなとこでお酒飲んでたら、そりゃ優雅な気持ちにもなるだろう。






「───じゃあ研修しておこうか。



何もそんなに難しくないから、肩の力抜いて見ててね。」





「…はい。」






「───…まずは立ち振舞い。



立ってる時も座る時も、姿勢と仕草を出来るだけ綺麗に見せれるように。

背筋しっかり伸ばして、足も組んだりせずに。」





あたしはスッと背筋を伸ばし、座り直す。






「そうそう。



あとはしっかりお客様の目を見てお話しする事。



お客様が何を求めているかしっかりキャッチして。




経験を積めば、



“このお客様は楽しくお酒飲みに来てるんだなぁ”とか



“このお客様は何か嫌な事があって飲みに来てるんだなぁ”とか掴めてくるようになるから」





「…はい」