────カツカツ…
半ば強引に手を引っ張られ、あたしと美月は夜のネオン街に溶け込んだ。
───…一際街の奥深く。
飲み屋やカラオケが並ぶ筋を曲がる。
こんなとこまで来たことないなってキョロキョロ辺りを見渡していると
「───着いたよ。」
美月の足が止まり、あたしはその建物を見上げた。
─── Heaven ───
他の建物とは違い、圧倒的な存在感を放つ大人っぽいシックな外観。
キラキラしたような無駄な装飾は一切なく、ゴールドに光る“Heaven”の看板だけが黒い建物に映える。
すごい────……
何かすんごい大人っぽい………
─────ゴクッ……。
生唾を飲み込み、じぃーっとHeavenを魅入るように見つめていると
「入ろっか♪」
美月は目の前の気品溢れる扉を押した。
─────…ギイッ…。
開かれた扉の前に広がるのはこれまた別世界。
天井に輝く豪華なシャンデリア、ふかふかの絨毯、色とりどりに置かれている花や高そうなテーブル……。
………な、
何だこれ……。
タイタニックみたいな広場だな………。
こんな映画みたいなセット、ほんとにあるんだな……。
い、異世界すぎる……。
またまたポカンと口を開けて見たことがない風景を眺めていると
「───彩~っ!こっち入ってこっち!」
いつの間にやら美月がかなり前方から手招きしていた。
「───失礼しまぁす♪」
美月が扉を開けると、そこには高そうな椅子に誰かが座って微笑んでいる。
「───店長、前に話してたあたしの友達連れてきました。」
────え!?!?
店長!?!?
この人が!?!?!?
わ、若っ!
「───初めまして。
私がこのHeavenの店長の伊達です。」
スッと立ち上がった伊達さんは背丈が高く、ガッチリしている筋肉質な方だった。
「……あ…桜井彩です…は、初めまして……」
「ははっ、そんな緊張しないで。
美月から話は聞いてたよ。
さぁそこに掛けて。」
「……あ、はい……」
店長は高そうな革製の椅子にあたしを促した。



