──…その日の日記には、まるで切ない気持ちが爆発したかのようにこう綴られている。
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逢いたい。
朝岡さんに逢いたい。
朝岡さんの事が、どうしようもないくらい好き。
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───…よっぽど苦しくて悲しかったのだろうか。
そう綴っている字が震えていて、いつにも増して汚い字に拍車が掛かっていた。
───…気付くのが遅すぎた自分を呪い、こうなった偶然の様な運命を恨んだ。
人生って、本当に思ったようには行かない。
思い通りに行って幸せ掴める人なんて、一体どれくらいいるんだろう……。
───…ま、人それぞれ“幸せ”の基準は違うから、レベル合わせて判定する事なんて出来ないんだろうけど。
「────…はー……」
───…数週間後。
「……気ー重い……」
ネオンの宝石が燦然と輝く夜の街。
夏の夜風に髪を吹かれ、あたしは美月と待ち合わせしている場所へと急いでいた。
───…今日は面接。
というか、面接と言う名の顔合わせ。
「……はぁ……」
さっきからこればっかりだ。
何だかんだ決意は固めたものの、やっぱり緊張せずにはいられない。
こんなんで大丈夫かな…
いつもより気合い入れたつもりだけど、場違いだったらどうしよ……。
被害妄想が頭をよぎった瞬間、
「────彩ーっ!!!!」
広場の噴水前。
そこで美月が一生懸命手を振って立っているのが見える。
「……美月………」
「なぁにぃ暗い顔して!
そんなんじゃ受からないどころか運も逃げるよ?
さっ、行こっ!」
テキパキと歩き出す美月がいつもより大人っぽい。
丁寧に施されたメイクに映えるワンピース。
キャバ嬢の仕事モード?
さっすが気合い入ってるなぁ……。
「───もぅっ!彩、早く早くっ!」
────グイッ!
「わっ、ごめんごめん!」
感心しているあたしの手を、美月は急かすようにグイグイ引っ張った。



