───…お金……。
いつだって、何しようにもまずお金が必要なこの時代。
───…卑屈で厄介だ。
……でも、確かに美月の言う通りだ。
今のように頑張ってても、こんな事されたら水の泡。
マキ達のいたちごっこに付き合ってたらラチがあかない。
「……どうしよ……」
────ハァ……
困り果てて息を吐くあたしに
「……ん~…そーだなぁ…
───あっ、そうだ!!
じゃああたしの働いてる店来る?」
「………え?」
美月が働いてる店って……
「───キャバクラだけどね。
多分……まぁ頑張ればそれなりに見込めるかなぁとは思うんだけど……
えーっと……あ、あった。」
美月はごそごそとバッグから何かを取り出し…
「───はいっ。」
「……?」
手渡された一枚の白い金箔がかった名刺。
そこに記されているのは
「───“Heaven”…?」
「うん、あたしが働いてるお店の名前。
彩みたいに学生しながら働いてる子も沢山いるよ。
今ちょうど人不足なんだ。
だから、もし彩さえヤル気あるならあたし店長に話付けとくよ。」
「………」
キャバ…クラ……。
「まぁ……お水はお水だから色々大変だけど……
でも、何だかんだ言いつつあたしはこの仕事好きよ。
人の目にはどう映るかしんないけどさ……
どんな仕事もそうだけど、自分に自信持って仕事してる限りは何も恥ずかしくない。」
「…………」
そうキッパリと言い放ち、フワリと笑う美月の横顔が死ぬほど綺麗だった。
───……美月はいつも自分がする行動、自分が言う言葉に自信を持っている。
だから気迫というか、彼女を包むオーラがいつも自信に満ちていた。
すごいな……。
あたしも、こんな弱い自分捨てて美月みたいになりたい。
強く、在りたい───…
「───…美月…あの……」
「ん?」
したことがない不安に戸惑うな。
「───…あたしも…
そこで働きたい───…」
新しい扉を開いて、新しい自分を手に入れたい。
────見つけたい。
それを可能性と呼ぶのなら。



