「……彩……もう学校辞めなよ……
ここまでして、何で頑張る必要あるの?」
「……」
そうだね……。
辞めたら───……
学校辞めたら、ラクになるかな?
もう毎日怯えないで、泣かないですむかな……?
一人ぼっちだって思い知らなくていいかな……
好きな人にも────…
朝岡さんにも……
「─────……」
────だけど。
「……何もこんなに傷付いて、ボロボロになってまで続ける必要ないじゃない……。
彩の身体ももたないよ…」
「……もつよ……」
「───もたない!
もつわけないじゃない!!
一体今でいくつバイト掛け持ちしてると思ってるの!?!?
こんな生活してたら彩の身体が先にガタ来るよ!」
「…大丈夫…」
「大丈夫じゃない!」
「━━━大丈夫だって!」
………お願いだから
「………彩……」
お願いだから、今のあたしまで否定しないで。
頑張るって決めたの。
だから全部捨てたの。
好きな人も、友達も、何もかも全部諦めてここまで来たの。
それを否定しないで。
この道を、この学校に進むって決めたのはあたし。
お母さんと頑張るって、途中で投げ出さないって約束した。
好きな人振り払ってまでここに残って、自分の意志最後まで貫き通すって決めたのもあたし。
だってもうこの時点で、
どれだけのお金が手の平から消えていった?
どれだけの時間を一人で耐えてきた?
───辞めるということは、それが全部ムダになるって事。
それは自分で今の自分を否定するって事。
だから
「───…辞めない………絶対……」
決めたのは何もかもあたし。
たとえ“寂しい人間”って指差されて笑われても構わない。
───あたしは、一人で生きていく。
ずっとそうやって生きていく。
「…………」
美月はそんなあたしを見て、より一層困り果てた表情を浮かべ──…。
「……分かった。
でも……こんな事ずっと繰り返しても、本当に彩の身体もお金も持たないよ?
どうするの?」
そう言って、あたしを真っ直ぐに見つめた。



