『──…どうしたの…?』
あたしの異変に気付いてくれたのか、美月は瞬間的に声色を変えた。
「────…っ…
ご……ごめ……
き、今日……っ…行けない……」
絞り出した声が嗚咽と混ざってしまい、うまく言葉にならない。
『───泣いてるの?
何かあったの……?』
あれ………
おかしいな……。
まだ……
まだこんなあたしを気遣ってくれる人がいたんだ?
まだ────…
「───美月っ……美月───……」
───ボロッ……
ボロボロッ───…
優しさに、また視界が潤みを帯びていく。
いつからあたしはこんなに涙脆くなったんだろうか。
『───えっ……何、どうしちゃったのいきなり!?!?
彩どこにいるの?』
「……一階の…準備室…」
『一階の準備室……
分かった!ちょっと待ってて、すぐ行くから!』
────プツッ!
ツーツーツー───………
───……あぁ。
あたしにも、まだ。
“友達”と呼べる人がいた。
だけど……どうしてかな?
───“ここ”でも友達が欲しいよ。
支え合いながら、同じ志に向かって歩みたい。
励まし合いながら、同じ目標に進めるような……
そんな関係、カタチ。
そんな友達、同士。
普通に欲しいって思っちゃダメ?
願っちゃダメ?
ダメなの────…?
━━━━━ガラッ!
「────彩っ!!!!」
開いたドアと同時に、黒いワンピースが決まっている美月が顔を出した。
「……み…美月……」
ほっとしたのと同時に、またハラハラと涙が溢れてしまうどうしようもないあたしの涙腺。
「何泣いてんの!?!?
そんなへたれ込む程テストの成績悪かったの!?!?」
「……ち、違うよぉ……」
美月の勘違いが少しだけあたしの顔を笑わせる。
───あぁ……
美月。
美月がいてくれて良かった。
───……救われた。
「……?」
美月は状況が全く分からないのか、首を捻って。
「……じゃあ何で泣いてるの?」
────…ストン。
綺麗な顔を不安気に曇らせ、美月はあたしと同じく床に座った。



