「────…ック…」
もしも。
もしもこれが朝岡さんに対する全ての報いだとするのなら───…
……それでも、もう耐えられない。
あたしが何したって言うの?
濡れ衣着せられて、してもない罪の為に何でここまで傷つけられなきゃいけないの?
「───…もうやだ…」
消えたい、消えてほしい。
もう何もかも消去して、クリアにして精算して、ロボットみたいに生きる道でも、今のあたしには羨ましかった。
────たった1ヵ月。
あたしが大学に入って、何の疎外感もなく平穏に笑っていれたのはたった1ヵ月だけだった。
ただ、普通に毎日を過ごしたかった。
普通に友達と何気ない毎日を過ごせたら、それで良かった。
休み時間はもちろん授業の不満言ったりだとか、
お昼休みは一緒にお昼食べようとか、
帰りは一緒の電車乗りながら帰ろう、暇ならお茶とか買い物して寄り道しようだとか
そんな────…
そんなごく普通にやって来る、当たり前の毎日。
たかがそれだけで。
“何気ない毎日”は、形どられていたなんて初めて知った。
たかがそれだけで。
こんなにも人の根底が破壊されていくなんて初めて知った。
一人で生きる事は難しい。
だけど集団で生きる事も難しい。
本気で、生き場所がない気がしたその瞬間。
─────♪…♪…♪
憔悴して、もう何の気力もないあたしの耳に着信音が鳴り響いた。
【 着信; 美月 】
「──……美月……」
そっか、約束していたんだっけ……。
もう約束していた時間よりだいぶ過ぎてる……。
「─────……」
断ろう………。
とてもじゃないけど、今は無理だ。
─────ピッ……
そう思って通話ボタンを押したのに
『───ちょっと彩~っ!!!!!!!
何してんのよ~っっ!!!!!』
電話口から、美月の明るい声が鼓膜を揺らした。
「────…美月……」
『───まだぁ!?!?
あたし超ーッッ待ちぼうけ食らってるんだけどっ!!!!
早く行こうよお腹空いた!』
「………みつ……き……」
『────…彩?』



