───反抗して叫びたいのをグッとこらえ、彼女達が教室から姿を消すのを見つめていた。
……きっと、彼女達は補習と追試があるに違いない。
追加料金を払う機械の方向に歩いて行ったのが見えたから。
───…文句言うなら、まず自分の成り振り見直してから物を言って欲しい。
……けど、やっぱり死ぬ気で頑張っといて良かった。
もし補習、追試組になってたら明日からまた地獄だっただろうし……。
─────サァァァ…
窓から吹く生温い風に髪を揺らしながら、クラスメイト全員が教室から出ていくのを待っていた。
今行ったって、どうせ教材取るので混雑してるのが目に見えてたから。
「────…はぁ……」
────ペタン……
机に突っ伏しながら、何とも言えない気持ちを溜め息に変える。
────…シャラ…
ずっと付けているkeyのネックレスも一緒になって机の上で光った。
「───…朝岡さん……」
朝岡さんももうテスト終わったかなぁ……。
心配しなくても、朝岡さんなら高得点間違いないだろうな……。
「……………」
今頃どうしてるんだろう。
……もう彩の事なんか忘れちゃったかな?
出来るだけマキから離れてるから、もう朝岡さんの話もマキ本人の口から聞いてないし……。
朝岡さんの事だもん。
きっと女の子になんか困らないんだろうな。
「……余計な心配かな……」
───…そもそも。
朝岡さんは、どうしてあたしなんかをずっと好きでいてくれたんだろう?
違う人を好きだって知ってて、違う人と付き合ってるって分かってて、どうして───…。
どうして────……
「……………」
朝岡さんも……
朝岡さんもきっと、今のあたしに近い気持ちを味わっていたんだろうか。
ううん、もっと辛い気持ちだよね。
────四年間も。
四年間もずっと、こんな手が届かない気持ちを味わっていたの?
「───…しっぺ返し、かぁ……。」
……あたしにも、返って来たんだね。
─────カタン……。
あたしはまた溜め息を吐き、誰もいなくなった教室を後にした。



