「───では、これで前期授業を終わりとしますね。
追試や補習がある皆さんは、配ったプリントを参照に明日からもまた登校して下さいね。
じゃあ、下の準備室に後期の材料を取りに行って貰って今日は終わりです。」
─────…ザワザワ…
先生がそう言い終え、
みんなが成績について賑やかに談話を開始し
やっと終わった、とホッと胸を撫で下ろした瞬間
━━━━━バッ!
「─────!?」
近付いて来たマキ、ミユ、エリカに、急に持っていた成績表をひったくられた。
……な……なに……
「───ゲッ、何この点数~!!ムカツクー!」
「どーせカンニングでもしたんでしょ~?
じゃないと全教科こんな点数ありえないもんねぇ~!?!?」
「───なっ…」
あたしの成績表を勝手に取り上げて見た挙げ句、
自分達が思っていたより予想外だったのか、彼女達はそう吐き捨てた。
………カンニング……?
ひどいよ、そこまで言う……?
あんた達にそんな事言われたくない。
教科書ボロボロにしたあんた達になんか───…
あたしがこの連日、どんな思いで勉強したか、微塵も分からないくせに───…
「───いい子ぶるのも大変だよねぇ~」
「あはは、本当本当。
可愛い子は勉強も出来ないとモテないもんね~♪」
「─────…ッ…」
─────悔しい。
何しても、どう頑張っても。
この人達には、傷付いて頑張って生きてる人の気持ちなんか分からないんだ。
嘲笑うだけで、分かろうとしないんだ。
────でも。
どう言われても、あたしはこの結果に誇りを持ってる。
勉強だけは、頑張れば頑張る程、自分の為になるから。
これだけは裏切らない。
だから損をすることはない。
──────……
“だから努力は大切なんだよ、彩
毎日少しでも継続する力を養って、続ける努力をしなさい。
そうすれば、ゆっくりでも必ず結果は付いてくる。”
───…小さい頃からお父さんに、ずっとそう言われ続けて育ってきた。
───だからそう。
あたしは何も間違ったことなんかしてない。



