「あのメンズには小うるさい由梨が、“超”が付くくらいカッコいい連発してたんだもん。
相当なイケメンさんなんでしょ?」
「…い、いや…」
「……ったく、ホント自分からノロケるのが嫌いなの、変わってないなぁ彩は。」
「……」
……ノロケるも何も……
もう終わってるんだけどな……。
参ったな。
由梨のヤツ、言ってくれるよ……。
「───そ、それよりさっ!?!?
美月は何のお仕事してるの?」
───慌てて路線変更。
……だって……
だってさ?
もう極力、朝岡さんの事は思い出したくないもの。
「───あたし?
あたしは今キャバ嬢だよ♪夜のお仕事だよん♪」
「────へっ??」
……キ、キャバ嬢?
美月が?
「───マジで?」
「───うん♪
最初はいいお小遣い稼ぎになるなぁと思ってやってたんだけど、今じゃやりがいあるよ♪
楽しいしね♪」
「……へぇぇ~…!!!」
キャバ嬢かぁ……。
美人な美月にはピッタリだなぁ。
大変そうなお仕事なのに、すごいなぁ……
感心しちゃうな……。
「───名前とか新しくしてさぁ♪
綺麗に着飾って、お客様とお酒飲む時間を楽しむの。
大変だけど、生まれ変わったみたいで楽しいんだ♪
───あんな家にいるよりか、絶対マシ。」
「………」
───…美月の家庭環境は、少しばかり複雑だった。
……だから多分彼女は、
自分が自分らしく、自由に羽ばたける場所を見つけたんだと思う。
「……そっか、よかったね、美月。
今の美月、すごく生き生きしてるよ。」
そう笑うと、美月は頬を少し桜色に染めてはにかんだ。
「……ありがと、彩。
ねぇ、彩は何の大学なの?何勉強してるの?」
「……あたしはね、今歯科衛生士の国家資格取るために、大学行ってるよ。」
「───えぇっ!?!?何それ!?
ってか、医療系とかビックリー!!!!」
「……そうかなぁ?」
「うん、超意外!
彩なら絶対文系だろうなって思ってたもん!!!!」
美月は長い睫毛をパチパチとはためかせた。



