────…深夜。
「お疲れ様でしたぁ~。」
「彩ちゃん、ご苦労様。」
─────パタン…。
深夜も何故か賑わうファミレスを後にして、あたしはやっとバイトを終えて帰り道についた。
「……うー……疲れたぁ……。」
………伸びをして、ポキポキと肩を鳴らして。
黒い夜空に振り撒いている小さな星屑と、孤高の月を見上げた。
「───…今日は三日月、かぁ…」
………落ち着く、なぁ……。
月の光は泣けるほど優しい。
太陽は眩しすぎて、もう好きじゃない。
傷ついた心に染み渡るその光りは、少しだけ傷を癒してくれるような気がした。
夜が、味方になってくれていた。
「───…ありがとうございました~。」
─────…カサッ。
コンビニで軽く買い物を済ませ、再び家路につこうとした瞬間。
「─────…彩っ!?!?」
──────……え?
背後から名前を呼ばれ、
あたしは立ち止まる。
「───彩だよね!?!?
あたしだよ!
────小倉 美月!」
「────……美月…?」
………ウソ?
ウソでしょ?
懐かし過ぎる名前に目をパチパチさせ、あたしはクルリと振り向いた。
「───わぁ!!!!!
やっぱり彩だぁ~!!!!
うわぁーこんなとこで会うなんて!!!!嬉しいーっっ!!!!!!
めちゃくちゃ久しぶりーっ!!!!!!」
彼女は、キャッキャッはしゃぎながら近付いて来て、あたしの手を握った。
────…小倉 美月。
クリックリの人形みたいな綺麗な瞳。
ゴールド系のフワフワのゴージャスな巻き髪。
細身で、モデル体型の華奢な身体。
久しぶりに見た愛くるしい笑顔は、本当にあの頃から全然変わってない。
────…そう。
彼女は、由梨と同じくあたしの中学時代の親友だ。



